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2013年5月6日(月)

仏オランド大統領1年

経済停滞・失業増 支持率30%切る

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 フランスのオランド大統領が選挙で当選してから6日で丸1年となります。直近の世論調査によると国民の支持率は30%を下回り、就任1年後の大統領支持率としては歴代最低を記録。オランド氏の苦闘が続きます。(パリ=浅田信幸)


 いま政権が直面している最大の問題は経済の停滞と失業増です。

最悪を記録

 3月末の失業数は322万人(失業率10・6%)を超え、1970年代以降最悪の記録を更新。欧州委員会は今年のフランスの経済成長率をマイナス0・1%と見込み、来年に向けて失業率はさらに上昇すると予測しています。ルモンド紙はオランド政権の下で、毎日900人の新たな失業者が生まれた勘定になると報じました。

 メルケル独首相と前サルコジ仏大統領の連携(両者の名前をとって「メルコジ」と呼ばれた)で進められた欧州連合(EU)の緊縮政策を批判し、成長・雇用重視を訴えて大統領選挙に当選したオランド氏にとって、この面で明るい展望が開けないのは最大の失点と言えます。

 オランド政権の成果であると同時に損失にもなったと評価されているのが、4月に成立した同性婚の合法化と国民議会での承認を待つばかりの雇用安定化法の二つです。

 同性婚問題では、養子縁組による子育てを容認するかどうかで国論が二分。保守派勢力が数十万人から百万人規模の反対デモを繰り広げ、議会審議も怒声が飛び交うほど過熱しました。政権にとっての損失は、党内の実権争いで紛糾していた保守野党の国民運動連合が、この反対運動を通じて結束を回復し、反オランド攻勢を強めたことです。

労組が拒否

 雇用安定化法は、オランド氏の肝いりで開かれた政労使の「社会対話」を通じて、不安定雇用の解消と雇用創出を意図した改革を目指し、労働市場の柔軟化と雇用の安定、いわゆる「フレキシキュリティ」の制度を確立するというものです。

 1月に合意が成立したものの、代表的組合5団体のうち、ほぼ半数の労働者を代表する労働総同盟(CGT)と労働者の力派(FO)が、企業にとってだけ有利な内容だとして署名を拒否。法制化のための国会審議では、共産党、左翼党が与党・社会党の一部も加えて徹底した反対にまわり、所期の目的であった「対話を通じた合意」は崩れ去りました。

 同時に、政権発足以来いわば「友好的野党」とも言えた共産党ら左翼勢力は、この問題を通じて、オランド政権への批判と対決姿勢を強めています。

 四面楚歌(そか)の状態にあるオランド氏ですが、成長・雇用重視の路線は、当初ほとんど相手にされなかったEUでも次第に同調する声が広がっています。2年目に踏み出すオランド氏が経済の活性化と雇用創出に向けてどのような取り組みを見せるか、EUの今後にとってもその影響は小さくありません。


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