「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年5月4日(土)

偽装質屋 ヤミ金新手口

「担保」は年金 年利200%の高利も

九州から各地へ被害拡大

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 質屋を装い、弱い立場の高齢者をねらい撃ちして金を貸し、法外な高金利を取り立てる新手口のヤミ金融「偽装質屋」が各地に進出しています。東京都、埼玉県、群馬県など関東地方でも被害が広がりはじめています。 (竹腰将弘)


写真

(写真)問題の質屋が入居する雑居ビル=埼玉県越谷市内

写真

(写真)返済の事実を示す質札(画像を一部加工)

 埼玉県越谷市に住む年金暮らしの女性(74)は今年2月、親戚の葬儀に出席する費用数万円の工面がつかず、「小口貸付」「質屋」という看板の文字にひかれて、電話で問い合わせました。

 店側は、「年金は受給しているか」と確認したうえ、「質草は何でもいいから適当に持ってきてくれ。預金通帳と印鑑を持ってくるように」と指示しました。

質物鑑定なし

 女性は古い腕時計2個を質草として用意し、2月27日に店に行きました。何の審査も、質物の鑑定もなしに4万円が借りられました。そのさい、次回の年金支給日に元本と利息を一括して返済することを約束させられ、年金を受給している口座から自動引き落としをするための書類に署名させられました。

 次回の年金が振り込まれた4月15日、口座から返済金が自動引き落としされました。元本に利息1万800円が上乗せされた5万800円。融資日から返済日までは48日間。この間の利率は27%、年利に換算すれば207%になります。

 2010年6月に改正貸金業法が完全実施され、上限金利は年20%に引き下げられました。「偽装質屋」は、質屋にだけ認められている特例金利の計算方法を使い、貸金業者の上限の10倍以上の高金利をかぶせているのです。

 2010年を前後して、九州地方を中心にしたヤミ金グループが、質屋の特例金利109・5%に目をつけ、質屋を偽装して金を貸す新手口をとりはじめました。

 彼らは、ほかからは金を借りられない年金生活者を相手にします。年金額を見て、その範囲内で貸すので、とりはぐれることはありません。「質草が必要」というのは、質屋を装うための形だけのことです。無価値の質草でも金を貸し、福岡県の偽装質屋では質草をもたない客に「100円ショップで何か買ってきて」と指示した例もあります。

 2カ月に1回の年金支給日には、銀行口座からの自動引き落としか、来店させ直接集金する方法で、確実に元本と高い利息を回収します。

相談が相次ぐ

 被害が先行した九州各県の消費者センターには、11年11月以降、「質を流してくれない」「執ような取り立てに困っている」などの相談が相次ぎ、12年5、10月には福岡、熊本両県で被害者が集団提訴。同10、11月には福岡、大分両県警が、大手偽装質屋グループを貸金業の無登録営業と超高金利の疑いで摘発しました。偽装質屋は、質屋営業ではなく、ヤミ金融による犯罪行為という社会的認知が広がっています。しかし、九州以外の各地に、新たな「偽装質屋」の触手がのびはじめているのです。

 前出の女性は、「利息がずいぶん高いなとは感じていたけれど、質屋だから大丈夫だと思っていた」といいます。

 女性の相談にあたった司法書士は「社会的に弱い立場の人から異常な高金利を取り立て、被害者は一度これに入ると抜け出せなくなる仕組みで、きわめて悪質だ」と話しています。


 質屋の特例高金利 質屋営業の金利の上限は、質草の鑑定・保管の手間がかかること、3カ月までの短期・小額金融であることから出資法の特例とされています。質屋営業法では、年利109・5%、貸付期間のわたる月数での利息計算を認めています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって