2013年5月2日(木)
米大統領 シリア政権、自国民への化学兵器言及
米軍の介入、議論に
【ワシントン=山崎伸治】オバマ米大統領がシリアのアサド政権による自国民に対する化学兵器使用の可能性に言及したことを受け、米国内では米政府の対応が注目されています。軍事行動を含む介入が必要だとの議論もみられます。
オバマ氏は4月26日、アサド政権による大量破壊兵器の使用は「事態を大きく変えるものとなる」と指摘。しかし、より詳しい調査が必要だと述べ、今後の対応には慎重な姿勢を示しました。
米シンクタンク「外交問題評議会」のレスリー・ゲルブ名誉会長は27日、インターネットメディア「デーリー・ビースト」で、事態が判明するまで「軍事行動にブレーキを掛けたオバマ氏の対応は正しい」と評価。シリアの反政府勢力への軍事支援についても「現時点ではまだ正当化できない」と論じました。
これに対し、民間の安全保障研究組織「トルーマン国家安全保障プロジェクト」のライオネル・ビーナー研究員は29日付の米紙USAトゥデー(電子版)で「われわれには介入する必要がある」と主張。反政府勢力への軽火器の提供やシリア上空の「飛行禁止区域」設置などを求めました。
ジョン・ボルトン元米国連大使は同日付の米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルでオバマ政権を「無策」と批判。化学兵器がシリア国外に持ち出されたり、急進的な反政府勢力の手に渡ったりする前に「破壊するための軍事的行動」が必要となると指摘しました。
ホワイトハウスのカーニー報道官は29日の定例会見で、「問題が深刻なだけに幅広い検証過程が必要となる。それによって一線を越えたのかどうか、どのような政策対応をするのかどうかを判断することができる」と述べ、事実の検証が必要だと重ねて強調しました。