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2013年4月29日(月)

スペイン

赤字削減目標先送り

緊縮策への国民批判続き

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 【パリ=浅田信幸】スペインのラホイ政権は26日公表の財政計画で、財政赤字を欧州連合(EU)が定める国内総生産(GDP)比3%以内に引き下げる目標について、達成時期を2年遅らせ、2016年とする方針を明らかにしました。緊縮策による不況と失業増が続く中、国民の間から噴出する不満に政権そのものが持ちこたえられないと判断したものです。

 財政計画は今年度のGDP伸び率を、当初の0・5%からマイナス1・3%に下方修正し、14年に0・5%の成長を見込みました。また前日発表された失業率27・16%は、15年に25%に減少するとしています。

 財政再建を最優先させる政策を主導してきたEUの執行機関・欧州委員会と国際通貨基金(IMF)は直ちにスペインの財政計画を承認しました。バローゾ欧州委員長は先に「欧州の緊縮政策は限界に達した」と発言していました。

 スペイン政府の報道官は「主要税である所得税と付加価値税(日本の消費税に相当)は引き上げない」と声明。代わりに新たな環境税を設け、企業に対する税控除の一部を廃止し、年金受給開始年齢をさらに引き上げるとしています。

 所得税については「新たな増税はない」というものの、今年度までの時限増税を来年度まで延長するというもので、実質増税となります。

 同国では不動産バブルの崩壊と世界的な金融危機の中で、09年以来、緊縮策が取られてきました。公務員給与の5%削減、付加価値税の16%から21%への増税、年金受給年齢の65歳から67歳への引き上げ、予算削減などによる教育と医療部門での100億ユーロ(約1兆3000億円)の「節約」―。

 緊縮策は内需を冷え込ませ、2011年後半以来マイナス成長が続き、失業率も08年の11%台から今年第1四半期には27%台へと激増。家賃や住宅ローンが払えなくなって住居を追い立てられる世帯も21万に達し、国民の生活を破壊しています。

 緊縮政策に反対する国民各層のたたかいは、労働者はもちろん警察官から医師、裁判官にまで及び、昨年11月のゼネストでは、労組によると全国で900万人が参加しました(同国の人口は4700万人)。

 今回発表された財政計画について、労組全国組織・労働者委員会(CCOO)は「事実上、経済活性化と雇用創出を放棄することを確認」し、「何百万もの人々の苦境をあざ笑うものだ」と非難しています。


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