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2013年4月28日(日)

主張

核の非人道性共同声明

署名拒否は核使用の正当化だ

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 広島・長崎の惨禍を経験した日本にとって、核兵器の非人道性を世界に訴え、速やかな廃絶に力を尽くすことは国民の強い願いであり、政府の責務です。ところが、核不拡散条約(NPT)再検討会議(2015年)に向けてスイスのジュネーブで開かれている第2回準備委員会で、日本政府は核兵器の使用を認めたと受け取られても仕方のない態度を示しました。核兵器の不使用を主張した共同声明への署名を拒否したのです。安倍晋三政権の姿勢は被爆国の国民として絶対に容認できないものであり、強く抗議します。

「核の傘」に固執

 日本が署名を求められた核の非人道性共同声明は「いかなる状況下でも核兵器が二度と使われないことは人類生存の利益」と指摘したもので、きわめて当然の主張です。賛同したのは核兵器廃絶をめざす運動の先頭に立ってきた国々をはじめ欧州、アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカの74カ国で、核兵器国は入っていません。

 この声明に対し、日本政府は日本の安全保障政策と一致しないとして賛同を拒否しました。菅義偉官房長官は記者会見で「いかなる状況下でも」という文言を「削除してほしいという働きかけをした」と述べました。

 核兵器は「いかなる状況下でも」使用されるべきでないとの主張を問題視した日本政府の認識は、状況次第では核兵器が使われても仕方ないとして核兵器の使用を正当化する立場に通じるものです。これが日本国民の願いに真っ向から反することは明白です。

 菅官房長官はその理由として、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しい状況だから」と述べました。核攻撃を辞さないとする北朝鮮の異常な挑発に、米国の「核の傘」に依存して軍事的に対抗しようとする立場とみられます。

 この「核抑止力」論は、効果をもたせようとすれば、こちらも核兵器の使用を前提にして相手を脅さなければならないという深刻な問題を抱えています。核不使用への賛同を拒否した政府の言い分は、まさに「核抑止力」論の誤りを浮き彫りにしたものです。

 安倍政権は北朝鮮の動向などを利用して、日本を米国の「核の傘」に一段と組み込む危険な姿勢を示しています。外務・防衛の当局者が今月、米ワシントン州の海軍基地で行った米国との「拡大抑止協議」は、核兵器の発射にかかわる機密装備なども見聞する異例なものだったといいます。「核の傘」が現実に機能していることを、日米で確認したものです。

 核兵器の“有用性”を認める点で、日本が核兵器国と同じ立場にあることは見過ごせません。準備委員会への米代表団は、北朝鮮などへの核拡散こそが「最も重大」とし、これが「軍縮目標を真っ向から阻んでいる」と核兵器廃絶の義務の棚上げを正当化しました。

核兵器廃絶を

 核拡散を阻止する根本的な手だてが核兵器の全面禁止であり、廃絶であることは明らかです。北朝鮮は核兵器保有国としての公認を世界に迫っています。それを拒否するにも、「抑止力」としての核兵器の“有用性”を認めた立場は有害です。日本は北朝鮮の核保有の脅威を受ける国の一つとしても、「核抑止力」論でなく、核兵器の廃絶をこそ主張すべきです。


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