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2013年4月24日(水)

多国籍企業から主権守る

中南米諸国が共同対処

国際調停の乱用阻止へ

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 南米エクアドルのグアヤキルで22日、「多国籍企業によって被害を受けた中南米諸国の閣僚会議」が開かれました。会議では、多国籍企業が各国の司法判断に従わず、国際裁定機関を通じて自らに有利な「裁定」を引き出し、環境汚染などで責任を回避している問題が議論され、各国の主権と利益を守るために共同で対処する地域機関の設立などを盛り込んだ宣言が採択されました。(カラカス=田中靖宏、外信部=菅原啓)


 会議は、中南米8カ国が参加する米州ボリバル同盟(ALBA)とドミニカ共和国が呼び掛けたもの。エクアドル外務省によると、アルゼンチンやメキシコなどALBA非加盟の国を含めて13カ国が参加しました。アルゼンチンは債務再編のやり方が不当だとして投機ファンドから米国の裁判所で訴えられています。メキシコは、多国籍企業が各国政府を訴える権利を保障する環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加しています。

 エクアドルでは長年の石油開発で北東部地域の環境が汚染され、裁判所が米石油大手のシェブロンに、190億ドル(約1兆9000億円)の賠償支払いを命じています。これに対し、同社は、国連国際商取引委員会(UNCITRAL)に提訴し、今年2月には賠償金支払いは必要ないとの裁定を受ける事態となっています。

 ベネズエラのハウア外相は、「各国の主権と国民の利益を踏みにじる国際調停機関の乱用は許されない」と指摘。ウルグアイのオリベト代表は、「米国、欧州、カナダの弁護士事務所と調停官が支える国際調停という一種の産業が作られてきた」と述べ、企業寄りの判断を次々「生産する」国際調停機関を皮肉りました。

 宣言は、多国籍企業・国家間の紛争解決にあたって「公正かつ均衡のとれたルールを保証する、投資紛争解決のための地域的な機関の設立を支持する」と明記しています。

 エクアドルのパティニョ外相は、多国籍企業の横暴から主権と国内法制を守る共同の仕組みで合意に達した今回の会議を「われわれは歴史的な一歩を踏み出した」と評価しました。参加各国はさらなる具体化をめざし、3カ月以内に第2回閣僚会議をベネズエラで開くことも確認しました。


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