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2013年4月23日(火)

主張

「成長戦略」第1弾

“甘いことば”には毒がある

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 安倍晋三首相が19日の記者会見で、6月にまとめる「成長戦略」の第1弾を発表しました。「成長戦略」は異常な金融緩和や財政出動と並ぶ、「アベノミクス」(安倍政権の経済政策)の“三本の矢”の1本です。第1弾には、先端医療への支援や若者の雇用対策、女性の社会進出のための保育所対策など、耳あたりのいい対策が並びます。参院選を意識していることは明らかですが、問題はそうした“甘いことば”の背後に横たわる「アベノミクス」の危険な毒です。

「アベノミクス」の危険

 「アベノミクス」は、昨年末の政権発足以来、日本経済の再生が「最優先課題」だと安倍政権が持ち出してきた経済政策です。“第1の矢”の金融政策では、日銀総裁に黒田東彦氏をすえ、物価上昇率を2%に引き上げることを目標に異常な金融緩和を進めています。金融緩和だけで「デフレ不況」が打開できるはずはなく、異常な投機とバブルが懸念されています。

 “第2の矢”の機動的な財政出動では2012年度の補正予算と13年度予算案が編成されましたが、財政破綻をいっそう深刻化する一方、軍事費や大型開発への自民党型バラマキの復活だけが目立っています。消費税増税や社会保障改悪など、第4、第5の“隠された矢”も国民をねらっています。

 日本経済が「デフレ不況」といわれる停滞に落ち込んでいるのは、非正規雇用の拡大など、雇用が不安定になり、賃金など国民の所得が落ち込んで消費が低迷、中小企業などの売り上げも低下しているためです。「アベノミクス」はもともと物価上昇を目標とするだけで、国民の雇用や所得を増やす目標がありません。安倍政権が発足して4カ月近くたつのに、経済再生の兆しが見えるどころか、生活必需品の値上がりなど、国民生活へのしわ寄せが顕著に現れています。ことしの春闘でも、労働者の賃金はほとんど上がっていません。

 安倍首相が6月に予定している“第3の矢”「成長戦略」の決定を待たず、その第1弾を発表したのも、「アベノミクス」の効果を国民に示す必要性に迫られたからといえますが、耳あたりのいい部分的な政策を並べるだけで、国民をだまそうというのは不可能です。

 だいたい、安倍首相が持ち出した若者や女性の就労対策にしてもその実行を財界に要請するというだけで、何の裏付けもありません。深刻な社会問題になっている保育所の待機児対策も企業や自治体任せで、政府が責任を持って保育所を増設し、待機児問題を解消しようというものではありません。「詰め込み」保育を拡大する方向です。「絵に描いたもち」のような“甘いことば”で国民をだまそうというのはどだい無理な話です。

企業へのてこ入れが狙い

 もともと「アベノミクス」の“第3の矢”にしようという「成長戦略」は、企業に対する規制緩和で、民間投資を活発にするというのが触れ込みです。安倍首相が就任直後発表した「経済対策」では、「世界で一番企業が活動しやすい国」にすることを明記しました。労働者に対する雇用・解雇規制の緩和や企業の土地取引のための農地法の緩和などが検討中です。

 そうした国民に「痛み」を伴う中身は隠して“甘いことば”をささやくだけでは、国民を欺瞞(ぎまん)するという批判を免れません。


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