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2013年4月19日(金)

きょうの潮流

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 例年より速いペースで北上中の桜前線。5月に入れば、天候が荒れた北海道にも花ひらく春が訪れます。都心の桜はすっかり散ってしまいましたが、新緑の若葉がみずみずしい▼先日、桜について読者から手紙をいただきました。86歳のこの方は、いつも複雑な思いで桜の季節を迎えているというのです。「戦争で生き残った者にとっては、桜吹雪をただただ愛(め)でるといった気分に浸ることができない」▼終戦の年の桜の季節。日本軍が新たに開発した兵器「桜花(おうか)」が実戦に使われました。機首の部分に大型爆弾を積んだ飛行機型の特攻兵器。つり下げられた母機から発射されると、同乗した特攻隊員ともども目標に突っ込んでいく人間爆弾です▼軍は秘匿のためと、見事な散りぎわを表すとして「桜花」と名づけました。多くの若者の命をうばった特攻兵器は、相手の米英から「ばか爆弾」と呼ばれたそうです。あまりにも人の命を軽んじる無謀でばかげた作戦だったからです▼手紙の方は戦時中、この「桜花」の開発にかかわったといいます。毎年桜をみるたびに、どれだけ悔やんできたことか。そしてまた、軍歌「同期の桜」の歌詞も頭をよぎると。「咲いた花なら散るのは覚悟/みごと散りましょ国のため」▼生きて帰らぬ特攻を、散る桜にたとえて賛美した軍国日本。身をもって体験してきた人たちにとっては、感情が入りまじる桜の季節なのでしょう。憲法を変えようとする動きがあるいま、決して忘れてはいけない平和への思いです。


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