2013年4月17日(水)
イラク テロ55人死亡
全土1日20件 地方選へ混乱激化
【カイロ=小泉大介】米軍による戦争開始から10年が経過したイラクで15日、爆弾テロが全土で相次ぎ発生し現地からの報道によると55人が死亡、約300人が負傷しました。同国では今月20日に、2011年末の米軍「撤退」以降初めての政治戦である州評議会選挙が行われますが、投票に向けさらなる混乱が懸念される事態となっています。
15日の爆弾テロは主に自動車爆弾を使用したもので、首都バグダッドはじめ、西部ファルージャ、北部キルクークなど各地で20件以上発生しました。バグダッドでは約30人が死亡しましたが、厳重な警備体制が敷かれている国際空港付近の駐車場でも爆発が起きるなど、治安状況が深刻化しています。
今回の全土テロで犯行声明は出ていませんが、国際テロ組織アルカイダ系の「イラクのイスラム国家」による犯行との見方が有力です。同組織はこの間、隣国シリアを拠点とする武装勢力「ヌスラ戦線」との統合を発表するなど、勢力拡大と攻撃の活発化を図っているとされます。
地方選である州評議会選挙は来年に予定される総選挙の前哨戦としても注目されていますが、治安の悪化から、全18州のうち、予定通り投票が行われるのは12州にとどまる見通しです。これまでにテロや攻撃により少なくとも14人の候補者が殺害されており、選挙の正当性を問う声も上がっています。