2013年4月16日(火)
パレスチナ首相辞任
イスラエル報復で経済悪化
【カイロ=小泉大介】パレスチナ自治政府のファイヤド首相は13日、同政府のアッバス議長に辞表を提出し、受理されました。後任が決まるまでは同首相が職務を続ける見込みですが、今回の事態からは、占領下におけるパレスチナの経済的苦境が改めて浮き彫りとなりました。
世界銀行や国際通貨基金(IMF)の勤務経験を持つファイヤド氏は2007年に首相に就任。欧米各国要人との人脈も生かしたパレスチナ経済の立て直しが特に期待されてきました。
しかし、就任後もイスラエルによる占領のもとで経済活動が制限されるとともに、国際社会の援助も見込みに届かず状況は逆に悪化しました。昨年秋にはガソリン代が3年前の2倍に跳ね上がるなどの物価高騰に加え、失業率も約20%に達したことから、ファイヤド首相の辞任を求めるデモも発生しました。
さらに昨年12月にはイスラエル政府が、前月に国連総会でパレスチナの「国家」格上げ決議が採択されたことへの報復として、自治政府に代行して徴収した関税の送金停止を決定。自治政府職員の給与未払いが起こるなど経済悪化に拍車がかかりました。
現地からの報道によれば、アッバス議長率いるパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハとファイヤド氏(無所属)との間で、閣僚人事などをめぐる「確執」もあったもようです。