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2013年4月13日(土)

薬害イレッサ 最高裁、企業責任認めず

原告「将来に禍根」

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(写真)薬害イレッサ訴訟で不当判決を報告する原告・弁護団=12日、東京・最高裁前

 副作用の少ない「夢の新薬」として大々的に宣伝し、短期間に致死的な間質性肺炎で多数の死亡者を出した薬害イレッサ事件。最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は12日、近澤昭雄さん(69)らが損害賠償を求めた裁判(東日本訴訟)で、輸入販売元の被告のアストラゼネカ(大阪市)への請求を退ける判決を出しました。国の責任については2日に上告を受理しない決定をしていました。

 弁護団によると同日、関西の被害者らが起こした西日本訴訟についても東日本訴訟と同様の決定をしました。これで薬害イレッサ訴訟は終結しました。

 記者会見した原告団長の近澤さんは「悔しい」と無念の思いを語りました。

 「ほんの短い言葉の判決文を聞かされるとは思いもよりませんでした。辛いことの連続でした。残念に思います」と悔しさをにじませました。

 「勝ちたかった。しかし、最高裁の判決ですから受け入れざるを得ない」と語る近澤さんは「12日最高裁は西日本訴訟についても同様の結果となりました。ダブルパンチです。提訴から8年4カ月、よくやったという気持ちはあります。万事休すというわけではない。医療現場と厚労省に声をからして訴えるなかで少しずつ理解は進んだと思います」と、自らを励ますように話していました。

 西日本原告団の清水英喜代表は「これが正義なのでしょうか。苦しんだ被害者の犠牲は何の教訓にもならないのでしょうか。私たちと同じような被害を受ける方が、二度と生まれないことを切に望みます」とコメントしました。

 薬害イレッサ訴訟統一原告団・弁護団は同日声明を発表しました。

 声明は「販売から半年で180人、2年半で557人もの間質性肺炎による死亡者を出した本件は、国と企業が防ぎ得た未曽有の薬害事件であったという歴史的事実には変わりない。最高裁の判断は将来に禍根を残す過ちである」と糾弾しています。


 イレッサ 英国アストラゼネカ社が開発した錠剤型の肺がん治療薬で、がん細胞だけを狙い撃ちにする分子標的薬。副作用の少ない「夢の新薬」と患者や医療関係の期待をあおっておいて、2002年7月、約5カ月間のスピード審査で世界に先駆けて承認されました。発売直後から間質性肺炎の急性障害などによる死亡報告が続出。昨年12月末までに862人が死亡しました。


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