2013年4月13日(土)
サウジの弁護士 初の女性登録
社会進出に弾み
車の運転許可、最大の関心事に
【カイロ=小泉大介】イスラム教の厳しい戒律で知られるサウジアラビアで、11日までに女性弁護士の登録が初めて許可されるなど変化が生まれています。世界で唯一、女性が車を運転することが禁止されている同国で、女性の本格的な社会進出につながるのか注目されます。
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「サウジの女性にとっての新たな勝利だ」
中東のメディアがこう報じたように、初の女性弁護士登録は5年来の運動の成果です。登録が許可されたのは今のところ1人ですが、同国の人権活動家からは「これで女性弁護士が出廷し弁論する道が開かれた」と喜びの声が上がりました。
サウジでは、女性が労働するには夫や父親の許可が必要であり、就業機会も非常に限られてきました。女性の社会進出を求める声が高まる中、2012年1月には、それまで禁止されていた女性の接客業への就業について、女性用の下着や服の販売についてはこれを認める法律が施行されました。
さらに最近では、娯楽施設内という限定つきながら、女性が自転車やオートバイを運転することや、女性向けスポーツクラブが許可される見通しに。昨年のロンドン五輪では2選手が女性として初出場を果たしました。
いま最大の関心事となっているのが、女性の車の運転が許可されるかどうかです。
この問題では、1990年に首都リヤドで約50人の女性(海外で免許を取得)が車を運転してデモ走行するという運動が起こりましたが、当局の取り締まりや宗教界の反発で頓挫します。しかし、チュニジアやエジプトにおける「革命」を受けた2011年5月以降、再び女性活動家が同様の行動に取り組むなど権利拡大に向けた世論が再燃しています。
今年1月には、国政の助言機関である諮問評議会(国王が任命、150人)に約30人の女性が初めて議員として任命されました。新評議会には、女性の運転実現に向けた審議を求める嘆願書(約3000人が署名)が提出されています。
サウジアラビア アラビア半島の8割を占める王政国家。人口約2900万人、面積約224万平方キロ(日本の約6倍)、首都はリヤドです。イスラム教の発祥地であり、同教の聖地メッカが有名。厳格なシャリア(イスラム法)の適用により、特に女性の社会参加の機会が制限を受けています。