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2013年4月12日(金)

富裕層増税・最賃引き上げへ

米予算教書 2014会計年度

医療・年金は削除

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 【ワシントン=山崎伸治】オバマ米大統領は10日、政権から議会に対する2014会計年度(13年10月〜14年9月)の予算要求となる「予算教書」を議会に提出しました。歳出の規模は前年度をやや下回る3兆7700億ドル。「バフェット・ルール」による富裕層増税や最低賃金の時給9ドルへの引き上げ(現行7・25ドル)を盛り込むなど、「中間層の雇用と成長」(オバマ大統領)を押し出したものとなっています。


 ホワイトハウスは今回の予算について、(1)確実に雇用を創出する(2)財政赤字を今後10年で総額1兆8000億ドル削減し、23年度までに対国内総生産(GDP)比で1・7%に抑える(3)税金の抜け穴をふさぎ、富裕層への免税措置を減らす(4)メディケア(高齢者医療保険制度)予算を4000億ドル節減する―ことを中心点としています。

 税制については、「バフェット・ルール」を実施し、年収100万ドル以上の世帯に最低30%課税する方針を表明。大企業による課税逃れを防ぐため、海外への利益の移転をやめさせる改革を提案することも盛り込みました。

 “勤労に報いる”として最低賃金の引き上げのほか、民間の投資による貧困地域の再建や低所得者層の若者の雇用を支える基金の創設などの方針を打ち出しています。

 財政赤字削減の一環としてインフレ調整法を見直し、今後10年で社会保障年金で2300億ドルを節減。裁量的支出については今後10年間、「自動削減」による削減に加え、国防とそれ以外でそれぞれ1000億ドルずつ削減する方針です。

 「予算教書」は法律で毎年2月の第1月曜日までに提出されることになっていますが、今年は歳出の「自動削減」をめぐる与野党の対立を受け、2カ月遅れとなりました。

解説

世論一定反映も国防費維持

 第2期オバマ米政権最初となる予算教書は、1月の就任演説、2月の一般教書演説でそれぞれ打ち出した中間所得層支援を強調し、富裕層増税を盛り込むなど、米国民の世論を一定反映するものとなりました。

 その一方、財政赤字削減策の一環として、「禁じ手」ともされてきた社会保障年金やメディケア(高齢者医療保険制度)予算削減の方向も打ち出しました。米メディアでは「共和党保守派と民主党左派の双方から批判」と指摘されています。

 現在の財政赤字の根源は、ブッシュ前政権の富裕層優遇策と莫大(ばくだい)な戦費です。

 富裕層優遇策をめぐっては世論の強い批判があり、今回の予算には富裕層への最低税率を引き上げる「バフェット・ルール」の実施のほか、社用専用機購入費用の免税措置廃止も打ち出しています。海外の子会社や租税回避地(タックスヘイブン)を使った大企業・投資家による“課税逃れ”にも対処する姿勢を示しています。

 一方、歳出削減の“努力”は強調しますが、歳出総額の約4割を占め、毎年の予算で割り当てられる「裁量的支出」の58%に当たる国防費は前年度と比べてもほとんど変わりがありません。史上最も無駄な兵器開発といわれるF35ステルス戦闘機の開発・調達費も計上されました。

 国防費は対テロ戦争開始前の2000年に比べ2倍に膨らんでいるとの試算もあります。ここに大きなメスを入れるならば、年金や医療など、国民生活に直結する予算の削減は避けられるはずです。(ワシントン=山崎伸治)


 米予算教書 米大統領が議会に示す連邦政府予算の編成方針で、一般教書、経済教書(経済報告)と並び「三大教書」と呼ばれます。米国では厳格な三権分立のもと、法律の制定と予算の編成は立法府である議会が行います。議会は教書提出を受けて、予算関連法案を作成、審議します。


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