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2013年4月11日(木)

主張

福島原発・相次ぐ事故

東電と政府・規制委の責任重大

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 東京電力福島第1原子力発電所で、先月の停電事故で使用済み核燃料プールなどが長時間冷却できなくなったのに続いて、汚染水をためている地下貯水槽での水漏れ事故が発覚しました。汚染水漏れ事故は、放射性物質を含む汚染水が原発の外に漏れ出してくる可能性もある重大事故です。東電福島原発の重大事故は、一昨年3月の発生から2年以上たっても収束していません。その場しのぎの対策ではなく、東電と政府・規制委が総力を挙げて事故を収束させ、原子炉そのものの廃炉を実現していくことが不可欠です。

場当たり的対策の限界

 先月発生した停電事故も、使用済み核燃料を冷却する重要な電源施設が2年近くも仮設のままで、ネズミなどの侵入を防止する設備もなかったために電気回路がショートするなど、対策のお粗末さを浮き彫りにしました。今回の汚染水漏れ事故も場当たり的な対策の限界を証明しています。

 福島第1原発の原子炉の中には核燃料が残り熱を出し続けており、冷却のため注入した大量の水が建屋の地下に流れ込んでたまっています。冷却のための水は循環させて使うことができるようになりましたが、原子炉建屋の地下には1日400トンもの地下水が流れ込んできます。増え続ける汚染水には大量の放射性物質が含まれているため、外部に出すことはできません。

 地下貯水槽には放射性物質を法令限度以下に取り除いた水を貯蔵するはずでしたが、除去設備の完成が遅れ、高い濃度の放射能汚染水が貯蔵されています。発生量に見合うタンクの増設をおこたってきたため、本来の目的と異なる貯水槽に高濃度の放射能を含む水を入れなければならなくなったのです。貯水槽は地面を掘り下げ遮水シートを敷いただけで、もともと放射性物質を含む汚染水の貯蔵にふさわしいものではありません。

 汚染水漏れは最初、七つある貯水槽のうち2号で起き、続いて3号でも漏れが見つかった後、東電は上部に差し込んでいる監視用のパイプが原因だと強弁しました。しかし、汚染水を移送するはずだった1号でも漏れたことから、東電の推定は破綻しました。シート自体の破損など、いまのところ原因は不明ですが、貯水量を管理するだけでなく汚染水を撤去するなど抜本的な対策が不可欠です。

 重大なのは、漏れ出した汚染水にはストロンチウムなどの放射性物質が含まれているため、海などに流れ出れば深刻な環境汚染を引き起こすことです。東電は、貯水槽は海から離れているので、直ちに流れ出る被害はでないといいますが、放射性物質を拡散させないため、地下の防水壁を整備するなどの対策が不可欠です。

まず「収束」宣言撤回を

 相次ぐ事故やトラブルは、福島第1原発の重大な事故が収束していないこととともに、これまで場当たり的な対策に終始してきた東電はもちろん、政府、規制委の責任を浮き彫りにしています。原子力規制委は10日の会合で対策の強化を確認しましたがあまりに遅すぎます。茂木敏充経産相は東電の対応は「甘かった」といいましたが、批判は政府にも跳ね返ります。

 政府が1年半前の事故「収束」宣言を撤回し、収束自体に総力を挙げることがなにより必要です。


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