2013年4月10日(水)
ベネズエラ大統領選 迫る
改革継承へ総力 与党陣営
「転換」よびかけ気勢 野党陣営
チャベス大統領の死去から1カ月。後継を選ぶ大統領選挙まで1週間を切ったベネズエラは、新自由主義からの脱却、自主的な経済・外交政策を進めてきた改革の継承を主張する与党のマドゥロ候補と、転換を訴える野党のカプリレス候補の陣営が激突し、政治一色となっています。(カラカス=田中靖宏 写真も)
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首都カラカス市内の街角には、与野党の選挙テントが設置されています。野党陣営のブースもありますが、数は与党が圧倒しています。「プント・ロホ(赤い拠点)」とよばれています。ビートのきいた革命歌に乗って、赤シャツ、赤帽姿の運動員たちがリーフレットを配っています。
そのうちの一つが30ページの新聞抜き刷りにした「祖国計画」です。次期6年間の政府方針を示したもの。ベネズエラの改革における五つの歴史的目標として、独立の堅持や、民主主義と憲法を尊重した社会主義への前進、ラテンアメリカの統合や地球環境維持への貢献などが詳述されています。
5日、首都の与党勢力側の拠点の一つエルバジェ地区で開かれた集会には数万人が参加しました。参加者は、貧困の削減や教育、福祉、年金の充実などの成果を強調。「遺言に従って革命を続けよう」「1千万票で選挙に勝利しよう」と気勢をあげました。
マドゥロ候補は演説で、「今度の選挙は、貧者や労働者の味方とブルジョア搾取階級の手先とのたたかいだ」「民主的な社会主義の道か、それとも新自由主義への逆戻りかの選択だ」と訴えました。
一方、野党陣営は7日、中心部で大集会を開きました。首都での打ち上げ集会とあって参加者は数十万人に達し、ボリバル大通りを埋め尽くしました。
野党陣営には候補者ポスターだけで、政策、綱領などの文書配布はありません。参加者の一人は「チャベスは確かにいいことをしたが、何倍も悪いことをした。最大の欠点は、国を分裂させたことだ。民間の企業や資金、人材を追い出して経済を停滞させた。もはや転換が必要だ」と語っていました。
カプリレス候補は演説で、経済や治安の悪化を指摘しながら、「われわれはみんなベネズエラ人だ」と国民の「団結」を強調。「対決」を打ち出す与党を批判しました。
世論調査ではマドゥロ候補の優位は揺るがないとされているものの、カプリレス候補の急追も指摘されています。
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