2013年4月9日(火)
米CIAが密約 米紙報道
無人機攻撃でパキスタンと
「準軍事組織へ転換」
【ワシントン=山崎伸治】7日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、米国が2004年、パキスタン国内の反政府イスラム武装勢力指導者を無人機で殺害する見返りに、パキスタンが自国内で米国による無人機攻撃を容認するとの密約を結んでいたと報じました。
複数の両国当局者の話として伝えたもの。無人機攻撃をめぐる両国の密約についてはこれまでも指摘されていましたが、詳細が明らかになるのは初めてだとしています。
それによると、パキスタンは連邦直轄部族地域・南ワジリスタン地域の反政府勢力の制圧に、従来拒否していた米国との協力を決断。米中央情報局(CIA)はパキスタンの3軍統合情報局(ISI)と秘密裏に交渉しました。
ISI側は自分たちが攻撃目標を決めること、攻撃は部族地域に限ることなどを要求。無人機攻撃はすべてCIAが秘密作戦として実施し、パキスタン側の“成果”とすることで合意しました。
合意を受けてCIAは04年6月、南ワジリスタンのパシュトゥン人指導者を攻撃。当時、パキスタン側は同国軍による攻撃と発表しました。
同紙はこの密約の背景にCIAの方針転換があったと指摘しています。当時、秘密収容所で行っていた「テロ容疑者」への拷問・虐待に批判が集まるもと、CIAは「拘束するよりも殺害する」ことを重視。密約は「冷戦時代のスパイ活動から準軍事組織への転換」に道を開いたとしています。