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2013年3月29日(金)

主張

成年後見訴訟の国控訴

「早く選挙権を」になぜ応えぬ

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 成年後見制度を利用した人たちから選挙権を奪う公職選挙法の規定は憲法に違反していると認めた東京地裁判決を、安倍晋三内閣が不服だとして高裁に控訴しました。「選挙に行きたい」という原告女性の切なる願いをはねつけた、あまりに冷たい仕打ちです。

 選挙権の剥奪が違憲と明確に判断されたにもかかわらず、裁判を引き延ばす国の態度は異常です。安倍内閣はただちに控訴を取り下げ、選挙権を回復させる法改正に力を注ぐべきです。

「混乱」は理由にならない

 控訴理由について新藤義孝総務相は「判決が確定すると選挙事務は混乱する」と根拠も示さず述べました。成年後見制度を利用するまで普通に選挙に行っていた人が選挙権を取り戻すことに、「混乱」が生まれるはずなどありません。

 政府・与党は公選法改正を急ぐとしていますが、それなら控訴は不必要です。判決を確定させてこそ法改正に真剣に取り組む条件がつくられます。理由にならない「理由」を持ち出し、選挙権回復を先送りすることは許されません。

 選挙権を得てから一度も棄権したことがないのに、後見人がついたために選挙権を失った名児耶(なごや)匠(たくみ)さん(50)が裁判を起こしたのは「お父さんとお母さんと、また選挙に行きたい」という、きわめて当然な願いからです。

 今月14日の東京地裁判決は、名児耶さんの気持ちを受け止め、成年後見制度を利用した人にも選挙権が平等に保障されていることを確認し、選挙権を認めない公職選挙法の規定は憲法違反であり無効であるとの判断を示しました。

 認知症や知的障害、精神障害などで財産管理能力が十分でないと認められた人を保護するための成年後見制度が、民主主義の根幹である選挙権を奪っているのは不当です。その公選法の欠陥を根本から批判した画期的な判決は、全国の福祉、法律関係者らに大きな勇気と希望を与えました。

 判決を言い渡した裁判官が最後に名児耶さんに「どうぞ選挙権を行使して社会に参加してください」と呼びかけたことは、名児耶さんだけにとどまらず、障害のあることで参政権を制限されている人たちにも向けられた温かい発言として受け止められています。

 安倍内閣がすべきことは名児耶さんの選挙権を直ちに回復させることです。とくに父親(81)と母親(80)の年齢を考えれば一刻も早い判決確定が必要です。控訴により裁判が長期化すれば、「早く選挙に行きたい」という願いは、ますます遠ざけられます。

 安倍内閣が控訴に踏みきったことは、原告と両親がいったん手にした希望を無残に打ち砕き、心に深い傷を負わせるものです。

放置は一刻も許されない

 選挙権の剥奪規定を正当化する国の主張は、東京地裁判決でことごとく退けられています。「不正な選挙が行われる」とした国の言い分は、裁判所から実例を示すことを求められたのに、証拠も示すこともできず破綻しました。高裁段階で新たな主張ができる見込みもなく控訴した国の姿勢は一片の道理もありません。

 成年後見制度発足から13年、選挙権剥奪規定は重大な欠陥として当初から問題になっていました。政府は放置してきた姿勢を改め、直ちに是正に取り組むべきです。


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