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2013年3月23日(土)

きょうの潮流

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 人間とネズミのかかわりは古くて深い。進化のあとをたどってみても、われわれ霊長類のなかで最も原始的なサルはネズミによく似ているらしい。はるか昔から人間が収穫した穀物を食べ、生活をともにしてきました▼いまではほぼ全大陸に生息し、千数百種もの仲間をもつネズミ。雑食で繁殖力もつよく、哺乳類では最大のグループです。日本でも神話や昔話にひんぱんにでてくるように、古代から密接な関係でした▼身近なネズミを主人公にした小説や漫画も多い。ミッキー・マウスのように親しみを感じさせるキャラもあれば、不吉さや汚らわしさの象徴になることも。人々が隠しておきたい、触れたくない場所に生存しているからでしょうか▼福島第1原発が停電した原因がそのネズミだったとは。東電は、トラックの荷台に仮設された配電盤に小動物が入りこんで感電し、電気回路がいかれた可能性が高いといいます。なんというずさんさか▼停電で使用済み核燃料を冷やす設備も止まりました。もし燃料が溶けだせば、ふたたび大量の放射性物質が飛び散るところでした。それなのに、設備の状態や管理体制はあきれるほど。これまでの東電の場当たり的なやり方や無神経さに、怒りがこみあげます▼同時に事故は、巨大システム原発のぜい弱性と制御できない危険を改めて示しました。人間の活動が地球上の多くの生き物を圧迫している現代。小さきネズミが、すべての生物とあいいれない原発の弱点を、あらわにした皮肉を思います。


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