2013年3月20日(水)
原発停電 原因なお不明
福島第1 共用プール冷却できず
「収束」とはほど遠い状況
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で18日夜、電気系統が故障し、使用済み燃料プールの冷却などができなくなった事故は、19日深夜までに1、3、4号機で冷却を再開しましたが、共用プールの冷却は20日午前まで持ち越しとなりました。故障の原因は不明のままです。
冷却ができない状態が長く続けば、最悪の場合、燃料が溶け出し放射性物質が放出される可能性もあり、今回の事態は福島第1原発が「収束」と程遠い状況であることを改めて示しました。
東電の発表によると、18日午後6時57分ごろ福島第1原発の免震重要棟で瞬間的に停電が発生しました。設備の状況を確認したところ、三つの配電盤で電源が停止し、1、3、4号機の使用済み燃料プールや、同じく使用済み燃料が入っている共用プールの冷却設備など9設備が動かせない状況であることがわかりました。
使用済み燃料はいまだに放射性物質の崩壊熱を出し続けています。冷却ができなくなったため、1〜4号機の中で最も多くの1533体の使用済み燃料が入っている4号機のプールは18日午後4時に25度だった水温が、19日午後8時に33度以上になるなど、各プールで水温が上昇しました。
東電は、一部の配電盤が復旧したとして、1号機のプールの冷却を19日午後2時20分に再開、4号機もディーゼル発電機を使って同日午後4時13分に冷却を再開しました。3号機のプールもほかの配電盤を使って同日深夜に再開しましたが、共用プールの冷却再開は20日午前8時に見送られました。
記者会見した東電の尾野昌之原子力立地本部長代理は、これまでの調査の結果、屋外のトラックの荷台に載せている仮設3、4号機配電盤でなんらかの不具合が発生して過電流や電圧低下から保護する回路が働き、ほかの二つの配電盤も停止した可能性があると説明。しかし不具合の原因は丸1日近くたった19日夕方になってもわかっていません。
東電がプールの冷却ができなくなっていることを公表したのは、発生から3時間以上たった18日午後10時すぎに報道関係者に電子メールでしらせたのが最初です。
プールの冷却ができなくなっていることがわかったのは、停電が発生して調査を開始してからです。19日の原子力規制委員会では、設備の稼働状況の確認が免震重要棟ではできない現状を改善する必要性が指摘されました。
日本共産党福島県委員会と福島県議団は19日、福島県の佐藤雄平知事に対し、東電に抗議し徹底した原因究明と再発防止対策を求めるよう申し入れました。