2013年3月14日(木)
4000万人が貧困脱出
ブラジルの経験学ぼう
途上国へ紹介 世銀などと合意
ブラジル政府は3月に入り、世界銀行、国連開発計画(UNDP)と合意を結び、同国の貧困削減の経験を他の途上国に紹介する計画をまとめました。世界銀行は、この10年間に貧困を減らし、経済格差も縮めてきたブラジルの経験に注目し、世界全体の貧困削減につなげたい考えです。
ブラジル政府によると、同計画の名称は「貧困削減のための理解と刷新のイニシアチブ」。ブラジルで行われている社会政策例を集め、他の途上国の状況に適した実践形態を研究します。
首都ブラジリアで5日、合意文書に署名した世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は「ブラジルがこの10年間に進めた貧困削減は注目に値する。世界はこの経験から学ぶことができる」と語りました。
同氏は、すでにハイチやナイジェリアなどがブラジルの社会政策を参考にして貧困削減の取り組みを進めていると指摘。「このイニシアチブは南南協力(途上国同士の協力)にいっそうの深みをもたらすだろう」と述べました。
2003年に発足したブラジルの労働党政権は、飢餓や貧困の削減を最優先課題に掲げ、貧困層向けの家族手当の拡充や、幼児を持つ貧困家庭への支援制度の充実などを進めてきました。政府によると、総人口の2割、約4000万人が貧困を脱出し、経済格差も縮小しました。
世界銀行は昨年、ブラジルについて、貧困削減や格差縮小で「最も功績のある国」と評価していました。(島田峰隆)