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2013年3月9日(土)

論戦ハイライト

賃上げと安定雇用の拡大を

TPP参加は亡国への道

衆院予算委 笠井議員の基本的質疑

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 8日の衆院予算委員会で基本的質疑に立った日本共産党の笠井亮議員。デフレ不況打開へ積極的な賃上げを提起し、環太平洋連携協定(TPP)をめぐっては、交渉参加の危険性を示し、参加を断念するよう迫りました。


笠井 「内部留保活用へ本腰の要請を」

麻生副総理 「賃金に回ると経済が活気づく」

写真

(写真)質問する笠井亮議員(左)=8日、衆院予算委

 笠井氏は、2月8日の基本的質疑で「デフレ不況打開のカギは賃上げ」だとして政府が役割を果たすよう求めたことを受けて安倍晋三首相が同月12日、経団連など財界3団体の首脳に報酬引き上げを要請したことから切り出しました。

 笠井 総理、経済界の回答はどうだったのか。

 首相 笠井委員のご指摘もあり、政権の意思もあって経済団体に申し入れた。収益が上がっている企業から賃上げ、あるいは一時金について対応していきたいという回答だった。

 笠井氏は、「個々にであっても踏み出したことはいいことだ」と述べつつ、大方は一時金の引き上げにとどまっていること、経団連の米倉弘昌会長が「景気回復が本格的になれば、給料、雇用の増大につながる」と述べたことをあげて、「事実上の賃上げゼロ回答ではないか」と指摘。大企業の内部留保のごく一部を取り崩すだけで月1万円の賃上げが可能なことを示して迫りました(別表)。

 笠井 賃上げによって内需を活発にすることこそ余剰資金をいかせる道ではないか。労働者にも企業にとっても、国民全体にも、こんなにいいことはない。

 麻生太郎副総理 共産党と自民党が一緒になって賃上げを、というのはたぶん歴史始まって以来ではないか。内部留保が賃金に回ると、そこから消費に回る。GDP(国内総生産)に占める個人消費の比率は極めて高い。短期的にも一時金で内部留保が賃金に回ることは日本の経済が活気づくためにも重要な要素の一つだ。

 笠井 内部留保のほんの一部を一時金、基本給も含めて賃上げにあてれば日本経済の好循環の突破口になる。だからこそ今、本腰で要請すべきだ。

笠井 「非正規の時給引き上げを」

首相 「正規、非正規の関係なく(賃上げを)呼びかけたい」

 「全く光があたっていないのが非正規労働者だ」―。笠井氏はこう述べ、大企業が非正規雇用労働者を増やして内部留保をため込んでいる実態(グラフ)を追及しました。

 10年間で非正規雇用労働者は400万人増え、勤労者の平均給与年額は32万円も減る一方、大企業の内部留保は260兆円へと100兆円も増加しています。

 笠井氏は「これが『賃下げ社会』の大きな原因だ」と述べ、「歴代自民党政権が進めてきた労働法制の規制緩和の結果であり、反省はないのか」と追及。田村憲久厚労相は「(非正規が)景気が悪い時も失業率が欧米のように上がらない緩衝材だったことは確かだ」と述べ、規制緩和への無反省ぶりを示しました。

 笠井氏は、ローソンが一時金を引き上げするものの傘下コンビニ店からは「上がるのは本社社員だけ」との声が寄せられていると紹介。「非正規労働者の時給を100円上げよう」という要求が全国で高まっていると強調しました。

 笠井 安倍内閣の賃上げ対策に非正規労働者は入っているのか。

 首相 正規・非正規関係なく、(賃上げの)呼びかけは行っていきたい。

 笠井氏は、政府が賃上げを目指す一方、産業競争力会議では「正社員を解雇しやすく」と規制緩和を議論していると批判。「今こそ非正規労働者の時給も引き上げ、正社員化の流れをつくり、安心して働ける政策を実行すべきだ」と求めました。

笠井 「新規参加国は不利な条件を押し付けられる」

首相 「ぼやっとしている」と答えられず

 笠井氏は、安倍首相が来週にもTPP交渉への参加表明をしようとしていることに、JAや医師会など全国各地・各分野から怒りの声が上がっていると指摘しました。

 笠井 「聖域」がなくなるとどういう事態になるから交渉参加に反対なのか。

 首相 農業には産業という面だけではなく、環境や地域や文化や人々を守る機能を持っている。これが守られなかったら、こういうものを失ってしまう。

 笠井氏は「『交渉次第だ』というが、『聖域』が必ず守られると保証されるのか」と指摘。カナダ、メキシコが先行9カ国と「極秘念書」を交わし、不利な条件を承諾したとして、昨年6月に交渉参加を認められた問題を取り上げました。

 「極秘念書」は「現行の交渉参加9カ国がすでに合意した条文は全て受け入れ、9カ国が合意しない限り、再協議は行わない」「将来、ある交渉分野について現行9カ国が合意した場合、(新規参加国は)拒否権を有さず、その合意に従わないといけない」「交渉を打ち切る権利は9カ国にあり、遅れて交渉入りした国には拒否権は認められない」――というものです。

 笠井氏がそのような交渉参加の条件はあったのかとただすと、岸田文雄外相は「わが国には提示されていない」と答弁。笠井氏は次のように迫りました。

 笠井 「守るべきものは守る」というが、さきほどのような条件がついたら、それはできない。情報はつかんでいるのか。

 首相 取っている情報もあるが、輪郭がボヤっとしているもの、まだ判然としていないものがある。

 笠井氏は、「入ってみたら大変なことだったら、それこそ責任問題になる。そんな状況で参加できるはずがない」と強調しました。

 安倍首相は「交渉参加の判断を検討しているので、すぐ締結ではない」と答えるのが精いっぱいでした。

笠井 「ぼやっとした状態で交渉参加できるはずがない」

首相 「守るものは守る」とごまかす

 笠井氏は、昨年3月1日付の政府の文書で「新規交渉参加国に求める共通の条件」として、「包括的で質の高い協定への約束」「合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さないこと」「交渉の進展を遅らせないこと」の3点が明記されていると指摘し、こう追及しました。

 笠井 昨年3月の時点で(条件を)把握していたのではないか。

 外相 交渉参加の条件として(参加)9カ国が合意したものではない。

 笠井氏は、9カ国のうち1カ国でもこの条件を持ち出せばそれが日本の参加条件になると述べ、政府のごまかしを批判。政府文書発表の3カ月後にメキシコ、カナダの参加が認められたが、新規参加の条件は明らかにされていないと追及しました。

 笠井 そういう条件を書いたレター(念書)が存在することも確認していないのか。

 外相 情報収集に努力している。

 笠井氏は、交渉参加したとたん、関税・非関税措置の撤廃を約束させられ、不利な手かせ足かせまではめられると指摘。「こんな誓約をさせられたら、『聖域』は『架空の聖域』となってしまう」と批判しました。

 笠井 判然としない状況で参加表明などできるはずがない。やめるべきだ。

 首相 参加すると判断すれば、守るべきものは守る姿勢で交渉していく。

 笠井氏は、首相が野党時代、TPPについて「情報公開がほとんどない」などと政権与党を批判していたことをあげ、「この批判は安倍首相にそのまま返ってくる。拙速に結論を出そうとするやり方は許されない」と強調しました。

表

グラフ

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