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2013年3月4日(月)

多国籍企業横暴に反撃

共同対処を提起

エクアドル

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 南米エクアドルのコレア政権は1日、多国籍企業が各国の司法判断に従わず、自らに有利な国際機関の場で各国政府を提訴する事例が相次いでいることを受け、こうした横暴に共同で対処するための国際会議の開催を提起しました。南米諸国連合(UNASUR)など地域機関とも日程を調整し、4月にも開催される予定です。

 パティニョ外相は1日の会見で、多国籍企業の働きかけによる国際機関の「判決」で被害を受けている諸国が集まり、「相互に協力して対処するメカニズムを確立することになる」との見通しを明らかにしました。

 エクアドルで問題となっているのは、環境汚染で同国の裁判所から賠償金支払いを命じられた米石油大手シェブロン社が、これに従わず、国際的な調停機関に訴えたこと。この問題を審理していた国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が2月初旬、賠償金約190億ドルを支払う必要はないとする裁定を発表しました。

 エクアドルと米国は投資相互協定を締結しており、エクアドル側にはシェブロン社が不利益になる裁判所の命令の執行を阻止する義務がある、エクアドル政府はその義務を怠っているとの判断です。

 現地からの報道によると、エクアドル政府は、この協定は発効が1997年で、その5年前に同国から撤退したテキサコ社には適用されない、また、同社を後に買収したシェブロン社の責任を不問にするものではないと反論しています。

 中南米各国では、資源開発の外国企業の大もうけを規制する採掘料の引き上げや国有化、電気や水道など公共サービス関連の民間企業の再国有化が進められており、多くは政府と企業側の交渉で解決が図られてきました。ただ、企業側が、先進諸国の影響の強い国際機関などに提訴した場合、その判決や裁定は企業寄りのものになりがち。この点で、中南米諸国政府は国際機関への不信感を強めてきました。

 エクアドルは2月28日、ベネズエラで開かれた地域協力機構、米州ボリバル同盟(ALBA)の会合でも、国際会議開催の必要性を訴えました。ベネズエラのマドゥロ副大統領は「エクアドルへの攻撃はわれわれすべての国々への攻撃」、「われわれは、この問題ではキト(エクアドルの首都)へ、あるいは世界の果てまでも赴くつもりだ」と発言していました。

 (菅原啓)


 米テキサコ社の汚染問題 エクアドル北東部で1964年から90年まで操業していた米テキサコ社(2001年にシェブロン社が買収)が原油流出により、土壌や水源を汚染。01年に被害住民団体がシェブロン社を提訴し、11年に地方裁が同社に対し、公式の謝罪と賠償金、罰金の支払いを命令。同地方裁の控訴審も昨年1月の判決で、一審判決を全面的に支持する判断を示しました。


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