2013年3月3日(日)
シリア難民 100万超へ
物資不足 各国拠出金は遅滞
国連が支援訴え
内戦が続くシリアをめぐり国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグテレス高等弁務官はこのほど、シリアから周辺国に逃れる難民の数が間もなく100万人を超えるとの認識を示しました。
ロイター通信によれば、2月26日時点でUNHCRに難民登録したシリア人は93万6000人。1週間あたり4万人以上が隣国に渡り、トルコ、レバノン、ヨルダン、イラク、エジプトは大量の難民であふれているといいます。
グテレス氏は27日、国連安全保障理事会で「難民は6月までに110万人に達すると見込んでいる。難民の4分の3が女性と子どもだ。多くが家族を失っている」と述べました。
中東の衛星テレビ・アルアラビアは28日、約7万人の難民を受け入れているヨルダン北部にある同国最大の難民キャンプ・ザアトリの様子を報道。絶え間なく増える難民の必要を満たすためUNHCR当局が対応に追われていると伝えました。
同キャンプはシリア国境から約15キロ離れた砂漠に位置し、多くの難民は所持品をほとんど持たず、着の身着のままで国境にたどり着きます。1月には、救援物資の不足やインフラの未整備に加え、豪雨や洪水、寒さにも見舞われました。
1月に国連がクウェートで開いた支援国会合では、難民支援のため湾岸諸国や米国、日本などが15億ドル(約1300億円)の拠出を表明しました。しかし国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は27日、安保理で、これまでのところ2億ドルしか集まっていないと報告し、いっそうの支援を呼び掛けました。(野村説)