2013年3月3日(日)
イタリア民主党
中道右派との連立拒否
少数派内閣模索 失業対策など提示へ
【パリ=浅田信幸】イタリア総選挙で第1勢力となった中道左派連合を率いるベルサニ民主党党首は1日、ベルルスコーニ元首相が率いる中道右派連合との「大連立」を拒否し、限定的な政策合意に基づく少数派政権の樹立を目指すことを明らかにしました。たとえこの試みが成功しても安定政権とはなりえず、ドイツの総選挙が予定される9月にあわせた再選挙の観測も出始めています。
ベルサニ氏は1日付の伊紙レプブリカとのインタビューで、ベルルスコーニ氏を「責任というものを自分と身内の利益以外に考えていない」と手厳しく批判し、「大連立は存在しない」と断言しました。
中道左派連合は下院で勝利したものの、上院では過半数議席を確保できませんでした。政権発足には上下両院で信任を受ける必要があるため、数の上では中道右派連合か「五つ星運動」の支持、最低でも消極的支持にあたる信任投票での棄権が必要です。
「五つ星運動」を率いるグリッロ氏はどの党とも連立しないと公言。しかし、議員の一部にこれに反対する動きもあり、少数派内閣の可能性は残されています。
ベルサニ氏はこのために、債務と財政赤字の削減を後回しにして、失業問題、社会政策の改善、国会議員歳費の削減、汚職・腐敗対策の強化など、「五つ星運動」にも受け入れられそうな7、8項目の政策を「変革の政権の提案」として提示することを示唆しました。
またメディアの報道によると、下院議長やいくつかの委員会委員長ポストを他党に譲ることも検討しているもようです。
新議会は15日に開かれ、上下両院の議長が選出された後、大統領による首班指名に向けた本格的な協議が始まります。