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2013年2月16日(土)

主張

後期高齢者医療制度

痛みをますますひどくする

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 75歳以上の高齢者を国保や健保などと別だてにしている後期高齢者医療制度が、お年寄りの暮らしと健康に重大な影響を与えています。厚労省の集計では保険料を払えずに滞納している高齢者は全国で25万人以上、滞納のため資産を差し押さえられた人は毎年増え続けています。保険証が手元にこない人も生まれています。高齢者を年齢で差別し、負担増などの痛みを強いる制度の根本的欠陥は明らかです。後期高齢者医療制度は速やかに廃止するしかありません。

存続すれば被害は拡大

 現在約1500万人が加入している後期高齢者医療制度は2008年4月、自民・公明政権が「構造改革路線」にもとづく医療大改悪の柱として導入しました。

 75歳になったとたん、それまで加入していた公的医療保険から無理やり切り離され、別だての医療制度に囲い込み、負担増と差別医療を押し付ける世界でも例のない、“高齢者いじめ”の仕組みです。

 制度開始直後には“うば捨て山”と国民の怒りがわき起こり、自公政権は保険料軽減や差別的な診療体系の停止など部分的手直しを行いましたが、制度の根幹は温存されました。09年総選挙で「廃止」を公約した民主党も政権につくと公約を投げ捨て、国民の願いを踏みにじってきました。

 自公民3党からは「改善されている」と制度存続を正当化する意見も出されますが、あまりに実態を無視した、現実からかけ離れた認識です。

 保険料は改定のたびに引き上げられました。75歳以上人口の増加と医療費増が、保険料に直接はね返る仕掛けになっているためです。今後もさらに上がることは避けられません。

 保険料を払えない滞納者数は毎年25万人を下回らず高止まりしています。公的年金からの保険料天引き対象外になっている低年金・無年金の高齢者らに重い負担となっていることは明白です。

 保険料を支払えない高齢者への“制裁”も深刻です。病院窓口で全額負担となる資格証明書の発行は世論と運動の力で許していませんが、有効期間が短い短期保険証の発行は2万人を超えています。有効期限が切れているにもかかわらず行政窓口に相談にいけないなどして短期保険証が手元にない高齢者も少なくありません。高齢者を「無保険者」に追い込むことは命そのものにかかわります。

 保険料を滞納し預金口座などを差し押さえられた高齢者も昨年度約2千人と年々増加しています。高齢者の暮らしを苦境に追い込む非情なやり方はただちにやめるべきです。

 制度開始以降の5年間の実態は、高齢者に冷たい制度の本質と弊害を浮き彫りにしています。被害をますます拡大させる制度の存続は許されません。

高齢者に温かい政治こそ

 病気になりがちなうえ、収入の手段も限られている高齢者だけをひとつの医療制度に集め、“負担増か、給付減か”を迫る制度の破たんはいよいよ明らかです。高齢者を“お荷物扱い”する政治に未来はありません。

 安倍政権による社会保障大改悪を許さない国民の共同を大きく広げ、後期高齢者医療制度をきっぱり廃止し、差別医療の仕組みを撤廃するたたかいが急がれます。


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