2013年2月9日(土)
きょうの潮流
もうすぐ卒業の時期です。人生のステップを前に期待や不安の日々でしょうか。卒業といえば、これほど話題になる人も珍しい。AKB48のメンバーです▼前田敦子さんにつづき、板野友美さんが「卒業」。その心境をつづったブログにはこんなくだりがあります。「AKBで活動してきた7年の間に辛(つら)くてやめたい、逃げ出したいと思い卒業を考えた事もたくさんありました」▼いまや国民的なアイドルグループ。それゆえの大変さはいかばかりか。そのAKBが最近、なにかと物議をかもしています。恋愛禁止のルールを破ったと、20歳のメンバーが丸刈りになって謝罪したり、少年誌に載った写真が違法容疑になったり▼“丸刈り謝罪”は海外メディアも配信。米CNNは「軍隊のような組織にあるのかもしれない」として、グループ内の厳格な秩序と規律に原因を求めています。国内でも、個人の自由を禁じる就業規則は人権侵害という批判の声があがりました▼一方でルールを破ったのだからしょうがない、自分の意思でしたこと、との意見もあります。しかし彼女たちをそこまで追い詰めたものは何なのか。さらしもののような謝罪、販促のための序列づくりや突然の配置転換…。それが、どんなに歌や踊りに青春をかけてきた心を傷つけてきたか▼性の商品化をふくめ、もはや身内の問題ではありません。夢にむかい努力する少女たちを搾取し、人間の尊厳を奪う商業主義。面白おかしく見ているだけでは済まされないでしょう。