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2013年2月7日(木)

原子力規制委、再稼働容認の骨子案了承

原発新基準、安全対策に「猶予期間」

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 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は6日、過酷事故に対する対策を義務づける基準と、地震や津波に対する基準の両骨子案を了承しました。同委は7日から2月末の短期間ホームページなどを通じて一般から意見を募集、7月中の施行に向け、基準案の策定に入るとしています。

 両骨子案は、東京電力福島第1原発事故の原因究明が終わっていないなかで事故の教訓がくみつくされたとはいえない状況でつくられたこと、その骨子案に盛られた一定の対策も「猶予期間」を認めていることなど、国民の安全を置き去りにして再稼働に“お墨付き”を与える内容となっています。

 過酷事故基準骨子案は、「炉心の著しい損傷と原子炉施設から異常な水準で放射性物質の放出の可能性」がある事故を想定。持ち運び可能な電源車や消防車などの配備を基本に、放出される放射性物質を減らすフィルター付きベント(排気)施設や水素爆発防止のための水素排出設備などの常設設備と組み合わせて対応するとしています。

 また、航空機によるテロ攻撃や想定を超える自然災害で炉心溶融事故を起こした場合に備えて、原子炉建屋から100メートル離れた場所に「第2制御室」を設置すること、事故時の対策拠点には、想定を超える地震に耐える免震機能、放射性物質で作業員が汚染しない機能を求めています。

 地震や津波に対する基準では、原発ごとに最大規模の津波を想定した「基準津波」を策定し、基準津波が到達しない高さに施設を設置。到達する高さに施設がある場合は防潮堤などを設置し、取水路などからも流入させないことを求めています。防潮堤など津波防護施設などは、原子炉圧力容器と同じく、耐震安全上最も重要とされる「Sクラス」の耐震性を求めています。

 地震対策では原発敷地内の地下構造を3次元的に把握することを求める一方、活断層の扱いについては、原子炉建屋など重要施設の真下に活断層があっても、ずれが地表に現れていなければ認めるとしています。

 活断層の定義については、「後期更新世(12万〜13万年前)以降の活動が否定できないもの」と従来と同じ定義を踏襲。それが明確に判断できない場合にのみ、「中期更新世(約40万年前)以降までさかのぼって活動性を評価する」としています。

原発の新しい基準骨子案の主な内容

過酷事故対策

 ●火災対策でケーブルなど不燃性材料を使用

 ●フィルター付きベント(排気)施設

 ●事故時の緊急時対策所は免震機能や放射性物質の遮へい機能を要求

 ●航空機テロに備え、原子炉を遠隔操作で冷やす「第2制御室」を設置

 ●原子炉格納容器が壊れた場合に備えて、屋外放水設備を設置

津波対策

 ●海底地形、国内外の事例などから「基準津波」を設定

 ●基準津波を施設に流入させない

 ●流入の恐れがある場合は防潮堤などを設置。耐震性は原子炉圧力容器と同じ高い耐震性

地震対策

 ●活断層は後期更新世(12万〜13万年前)以降の活動が否定できないもので、必要なら40万年前以降まで調べる

 ●重要な建物・構築物は活断層の断層が地表に現れていない地盤に設置

 ●原発敷地内の地下構造を3次元的に調べる


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