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2013年2月6日(水)

きょうの潮流

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 「市川団十郎」は、数ある歌舞伎役者の名跡のなかで代表格といわれています。江戸時代前期、初代団十郎が初舞台で演じたのが「荒事(あらごと)」でした▼勧善懲悪の正義、荒ぶる英雄の豪快さ、邪心のない心。彼の芸は、封建社会で抑えつけられていた江戸町民から絶賛されます。見たものは一瞬にして苦悩から解き放されると▼「江戸の守り神」と呼ばれた初代につづいて、江戸歌舞伎の基礎をつくったのが2代目でした。家や芸の確立、芸域のひろがり、役者の社会的地位の向上に貢献。その業績と、絶大な人気をほこった2代目は「市川宗家(そうけ)」となりました▼代々が江戸の華とたたえられた団十郎は、歌舞伎十八番の演目を定め、「勧進帳(かんじんちょう)」を創演したとされる7代目にひきつがれます。時代とともに磨きをかけてきたお家芸。名門を背負う重圧の大きさもはかりしれません▼「歌舞伎の世界は一代穴があくと、とり返しのつかないことになる厳しい世界」。先日、66歳で亡くなった12代目市川団十郎さんの言葉です。若くして先代に逝かれ、芸の継承に人一倍苦労しました。何でも勉強し吸収して、それを海老蔵さんら子孫に寸暇を惜しんで伝えました▼12代目は歌舞伎を守ることにも熱心でした。民主党政権が予算を削ろうとしたときも、反対の声をあげ、国会に足を運びました。「伝統芸術、文化は日本の顔だ。その顔をつくる未来の子どもたちのために力を入れてほしい」。あとにつづく役者には、技とともにその思いも継承してもらいたい。


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