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2013年2月5日(火)

内戦シリアから隣国へ

“見放された”避難生活

テントは風で吹き飛び 穴掘って毛布にくるまる

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 泥沼状態のシリア内戦をめぐり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は先月末、国外避難民が70万人を超えたと発表しました。人々は異国の地でいかに過酷な生活を送っているのか。増加がとくに著しい隣国ヨルダンとレバノンの避難民に電話で話を聞くことができました。(カイロ=小泉大介)


 ヨルダンには現在、難民登録済みと登録待ちを合わせて22万人以上が避難しています。最近では1日あたり3000人規模で増えているとされ、同国のアブドラ国王が「われわれは(対応に必要な)資源を使い果たしてしまった」(1月30日の国連会合)という状況となっています。

内戦を止めて

 「私たちの住んでいるテントは強風によって何度も吹き飛びました。近くに穴を掘り、毛布にくるまって何とか冷たい夜風をしのぐ日もあります。こんな動物以下のような生活を多くの避難民が強いられているのです」

 ヨルダン北部マフラクでこう語ったのは、4カ月前にシリア南西部ダラーを妻と子ども4人を連れて逃れたアブデル・モハメドさん(35)。ここでは子どもが病気にかからないことを祈るしかない状況だといいます。

 モハメドさんは、「故郷で爆撃によって死ぬのと、ここで緩慢な死を迎えるのとどちらがいいのかとまで考えてしまいます。何よりつらいのは、私たちは世界の人々から見放されているのではないかと感じることです。子どもの命を救うため、多くの援助が必要です。そして国際社会には内戦を止める努力も心から求めたい」と語気を強めました。

夫失い2児と

 レバノン中央を走るレバノン山脈とシリア国境近くのアンチ・レバノン山脈に挟まれたベカー高原―。

 32歳の女性ハナン・ハマドさんは、シリアの首都ダマスカス近郊に住んでいましたが、昨年7月に政府軍の攻撃で夫を亡くした後、2人の子どもとここに避難しました。現在は母親や姉弟も一緒に厳しいテント生活を送っています。

 「どうにかたどり着いた当初は所持金がほとんどなく、食料も毛布も買えなかったため大切な宝石を売り何とかしのいできました。レバノン政府は随分前からアパートを用意するといってきましたが、いまだに冷たい雨が落ち、毛布も足りないテント生活です。将来は真っ暗闇です」

 ハマドさんは、「自国民をここまで苦しめるアサド大統領は犯罪者としかいいようがない」と述べるとともに、国際社会に対し、避難民の多数を占める女性や子どもたちにとりつく死の恐怖を何とか取り除いてもらえるよう強く訴えました。

 レバノンにおけるシリア人避難民は合計約23万人。内戦がこのまま続けば、国外避難民の総数は今年夏までに100万人を超すと指摘されています。


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