「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年1月31日(木)

長官が米側に伊達判決破棄示唆

元被告ら最高裁に開示要求

砂川事件

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 米軍旧立川基地(東京都)の拡張計画をめぐる砂川事件(1957年7月)で、米軍駐留を違憲とした東京地裁判決(伊達判決、59年3月)を破棄した最高裁の田中耕太郎長官がマッカーサー駐日米大使と事前に会談し、「伊達判決は全く誤っていた」と最高裁判決の見通しを語っていたことがこのほど、米政府解禁文書で分かりました。

 これを受け、砂川事件の元被告らでつくる「伊達判決を生かす会」の共同代表7氏は30日、田中長官の言動などを記録する行政文書の開示を最高裁に申し出ました。

 米政府解禁文書は、マッカーサー大使が59年11月5日付で米国務長官あてに送った極秘電報。ジャーナリストの末浪靖司氏が2011年9月に米公文書館で入手し、「伊達判決を生かす会」に提供しました。

 同文書によると、田中長官はマッカーサー大使との「最近の非公式会談」で「最高裁が来年の初めまでには判決を出せるようにしたい」「(東京地裁の)伊達裁判長が憲法上の問題について判決を下したのは全く誤っていた」と語っていました。

 また同文書は、田中長官が審理にあたっている15人の裁判官について「裁判官の幾人かは『手続き上』の観点から、他の裁判官は『法律上』の観点から、また他の裁判官は『憲法上』の観点から問題を考えていることを示唆した」とし、マッカーサー大使に審理内容を詳しく伝えていたことを明らかにしています。

 伊達判決をめぐっては、国際問題研究者の新原昭治氏が入手した米政府解禁文書で、マッカーサー大使が藤山愛一郎外相に高裁への控訴を飛び越して最高裁への跳躍上告を働きかけていたことが判明。加えて田中長官と密談をしていたことも明らかになっていましたが、会談の内容を詳しく明らかにした文書が見つかったのは初めて。

 最高裁に開示を求めた砂川事件の元被告・土屋源太郎さん(78)は「最高裁判決は日米安保条約・行政協定を憲法の上に置くものだった。今回の取り組みを司法の独立を実現していく突破口の一つにしていきたい」と語りました。


 砂川事件・伊達判決 1957年7月に米軍立川基地(東京都砂川町=当時)の拡張に反対した労働組合員や学生が日米安保条約に基づく刑事特別法で起訴された事件。一審で東京地裁の伊達秋雄裁判長は59年3月30日、米軍駐留は憲法9条2項に違反するとして無罪判決を言い渡しました。これに対し政府は高裁への控訴を飛ばして跳躍上告。最高裁は同年12月16日、一審判決を破棄し、差し戻す判決を出しました。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって