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2013年1月29日(火)

主張

所信表明演説

危機あおるだけで展望示せぬ

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 3年ぶりに自民党政権を復活させた安倍晋三首相の所信表明演説を聞きました。日本経済も、震災からの復興も、外交・安全保障も、教育も危機だと、もっぱら「危機」をあおる内容です。1期目の所信表明演説で「未来への明るい展望」をうたいあげていたのとは様変わりです。何でもかんでも悪いことは民主党の責任に押し付けて、自らの政権復帰を正当化しようとしてもそれは通用しません。肝心の危機の原因についての分析も、処方箋もありません。「強い日本」をめざすというのも掛け声だけです。これでは国民に展望を示すことはまったくできません。

自らの責任自覚がない

 だいたい安倍首相は経済や外交の危機をいいたてますが、自らに責任はないとでも思っているのか。経済では莫大(ばくだい)な国民の所得と産業の競争力が失われ、「どれだけ真面目に働いても暮らしがよくならない」と告発してみせますが、20年近くにわたって経済が停滞しているほとんどの期間、政権を担当していたのは自民党です。

 日本経済が停滞している一番の原因は、国民の所得が落ち込み、物をつくっても売れないためです。大企業のリストラや非正規雇用の拡大を放置し、それどころか労働者派遣法の改悪などでそれに拍車をかけてきたのは自民党です。安倍首相自身、1期目の政権のさい小泉「構造改革」にたいする国民の批判によって参院選で敗北し、最後の所信表明演説で「反省」したではなかったか。経済や外交で陥っている危機の責任への自覚も反省も示さず、ただただ危機だとあおって悪政を押し付けるのは、まさに扇動の手法です。

 安倍政権の発足から1カ月、安倍政権が打ち出してきた政策には、危機の原因を分析し、正しい処方箋を示したものはありません。経済では「アベノミクス」を自称し、「強い経済」のため「三本の矢」なるものを持ち出してきました。しかしその中身は、異常な金融緩和にせよ公共事業の拡大にせよ破綻した対策の寄せ集めで、国民の所得が落ち込んでいる根本原因を打開するものではありません。

 外交や安全保障でも安倍政権が持ち出してきているのは、日本が攻撃されていなくても同盟国アメリカの戦争に参加する「集団的自衛権」の行使や、きびしい財政事情で国民に増税まで押し付けているのに軍事費だけは増額する予算編成など、国民の願いに反した方向です。過去の侵略と植民地支配を反省した「村山談話」や日本軍「慰安婦」問題での「河野談話」の見直しを言い出すなど、日本を国際的に孤立させようとしていることも重大です。日本の危機を打開するどころか危機を深めさせることにしかなりません。

都合の悪いこと語らない

 安倍首相が所信表明演説で、原発の再稼働・新設問題や環太平洋連携協定(TPP)への参加問題など、政権が直面している重大問題にふれなかったことも見過ごせません。都合の悪いことは国民に語ろうともしないというのではまさに「独裁」そのものです。

 昨年の総選挙の結果、国民は民主党政権には「ノー」を突きつけましたが、だからといって自民党に白紙委任したわけではありません。安倍政権に対する国会での追及とともに、悪政を許さない国民のたたかいがいよいよ重要です。


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