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2013年1月28日(月)

主張

生活保護過去最大カット

「人間の尊厳」を掘り崩すのか

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 安倍晋三政権は2013年度予算編成の焦点になっていた生活保護費について3年連続で大幅に引き下げることを決めました。29日に閣議決定する予算案に盛り込みます。「最低生活ライン」である保護費の引き下げは、受給者のくらしに打撃となるだけでなく、最低賃金にも連動するなど国民生活の各分野にも深刻な影響を及ぼす大問題です。広範な国民から反対の声が上がっているにもかかわらず、引き下げを決めた安倍政権の暴挙は許されません。

「生きる」根幹にまで

 安倍政権の方針は、今年8月から3年かけて740億円以上カットするとして、13年度に670億円も削る過去最大の削減計画です。

 削減の中心は、日常生活になくてはならない食費や水光熱費などの生活扶助費です。受給者はいまも食費をギリギリに抑え、暖房もできるだけ我慢するなど切り詰めた生活を続けています。「生きる」根幹まで切り縮める方針に、「人間らしく生きていくことを認めないのか」と悲鳴が上がっています。

 もち代など特別な支出があることを配慮して支給されている年末一時扶助金も容赦なく削るとしました。職業技術習得のための必要費用などを控除できる仕組みの廃止まで打ち出したことは受給者の就労を妨げるもので、「就労」を強調する政府方針に反します。

 削減が実行されれば受給世帯の9割以上が減額され、最大10%もカットされる世帯も生まれるなど深刻な事態が引き起こされるともいわれています。人数の多い世帯ほど削減幅が大きくなるため、子どものいる世帯ほど痛みを強いられます。親の貧困が子どもに引き継がれる「貧困の連鎖」をますます拡大することは、日本の将来を危うくする暴挙にほかなりません。

 小泉純一郎政権の「構造改革」路線を忠実に継承した第1次安倍政権は07年度予算で、生活保護の母子加算の縮小・廃止などを強行し、貧困と格差の拡大に拍車をかけました。国民を苦境に追い込んだ誤った政策になんら反省することなく、さらに全面的に削減に踏み出そうとする安倍政権の姿勢は、くらしの底上げを求める国民の願いに真っ向から反するものです。

 憲法25条の生存権は、すべての国民に「人間らしい尊厳ある生活」を保障することを国に求めています。兄からのわずかな援助を理由に生活扶助を打ち切ったことの違憲性を問うた「朝日訴訟」の一審判決(1960年)は、国の措置は憲法違反と判断し、ときどきの予算配分で健康で文化的な最低限度の生活水準を左右してはならないと、生存権保障の国の責任を明言しました。“財政的理由”で保護費を削り、生存権を脅かす安倍政権の姿勢は、歴史を逆行させるもので一片の道理もありません。

憲法25条生かす政治こそ

 安倍政権は、生活保護をはじめ社会保障費の抑制・削減を狙う一方で、大企業への政策減税などの大盤振る舞いを行い、軍事費や大型公共事業費には気前よく上積みしています。こうした政治は根本から転換すべきです。

 今年は朝日訴訟の原告・朝日茂さんの生誕100年と「50回忌」にあたります。生存権を危機にさらす保護費削減を中止させ、憲法25条を生かす政治の実現にむけた国民的なたたかいが重要です。


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