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2013年1月24日(木)

メキシコ大統領 飢餓削減へ新計画

新自由主義温存に批判も

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 メキシコのペニャ・ニエト大統領は21日、最貧州ともいわれる南部チアパス州を訪問し、食糧支援などを柱とした新計画「飢餓撲滅十字軍」を開始すると発表しました。約740万人を飢えから救うとしていますが、具体策に乏しく、野党や専門家の間からは、成果を上げられなかった過去の政策の「焼き直し」だと厳しい批判が湧き起こっています。(菅原啓)


 政府機関によると、メキシコの貧困層の割合は46・2%。貧困人口は約5200万人と史上最悪の水準に達しています。歴代政府にとって貧困対策は常に優先課題とされてきましたが、1980年代半ばから強まった貿易自由化など新自由主義政策のもとでどの政権も貧困削減に成功していません。

4人に1人が

 カルデロン前政権(2006〜12年)の6年間では貧困層が300万人以上増えました。ペニャ・ニエト氏は、貧困対策を中心公約の一つと位置づけ、選挙戦では「1500万人を貧困から抜け出させる」と豪語していました。

 大統領はチアパス州の山間部で行われた式典で、「メキシコ国民の4人に1人が何らかの食料不足状態にある」「極貧状態の克服はわれわれの倫理的な義務だ」と強調。約740万人に食糧支援などを行う「全国飢餓対策システム」創設の大統領令に署名し、「飢餓撲滅十字軍」の活動を開始すると宣言しました。

 政府は、今回の計画は、(1)全国約2500のうち400自治体を選定し努力を集中する(2)政府機関を総動員して保健・教育・住宅などの諸問題の解決にあたる(3)中小の農業生産者の生産能力を向上させる(4)各地のボランティアの力を動員する―という四つの特徴があると説明しています。

 ロイター通信によると、メキシコの経済研究教育センター(CIDE)の経済学者スーザン・パーカー氏は、この計画が「詳細な具体策が乏しくて幻滅した」とコメント。グアダラハラ大学の経済学者ホルヘ・ビジャセニョル氏も、1990年代半ば以降の旧政権による古い政策を「ほこりを払って持ち出している」「焼き直しだ」と酷評しています。

富裕層増税を

 中道左派の野党、民主革命党(PRD)のアウレオレス下院議員団長は、大統領の提起について「見るべきものが何もない発表」と指摘。1996年以降に政権に就いた制度的革命党(PRI)と国民行動党(PAN)の政府が実施した、貧困削減で役立たなかった18年間の社会開発計画を根本から見直す必要があると語っています。

 地元紙ホルナダのコラムニスト、ジョン・アッカーマン氏は、「新自由主義を破棄しないなら、飢餓撲滅十字軍は何も解決しないだろう」と述べ、貧困対策のためにも大もうけしている富裕層や企業への増税を検討すべきだと主張しています。


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