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2013年1月23日(水)

米大統領2期目就任演説

“平等の実現”を強調

オバマ氏 “不可侵の権利”

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 【ワシントン=山崎伸治】昨年11月の米大統領選挙で再選され、2期目に就任した民主党のバラク・フセイン・オバマ大統領(51)は21日、ワシントンで行われた就任式典に臨みました。就任演説で“平等の実現”を強調し、そのために「一つの国家、一つの国民」として団結することを呼び掛けました。


 4年前の就任式典で180万人が詰め掛けた時の熱狂ぶりは影を潜めたものの、それでも式典には60万人が集まりました。

 オバマ氏は「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」との「独立宣言」の一節を引用。「私たちの世代の任務はそれをすべての米国民に実現させることだ」と訴えました。ことに同性愛者の権利を取り上げました。

 米国内の貧富の格差に触れ、「米国の繁栄は中間層の広い肩にかかっている」と指摘。「一人ひとりの国民の努力と決意に報いる国家」の実現を呼び掛けました。

 このほか内政問題では、第2期政権で大きな課題となる銃規制と移民改革を強調。財政赤字問題について「医療費と財政赤字の規模を縮小するため、困難な選択をせねばならない」と訴えました。

 軍事・外交問題では、「軍事力と法の支配を通じて国民を守り、価値を擁護する」と表明する一方、「恒久的な安全と永続的な平和のために、絶え間なく戦争する必要はない」「他国との違いは平和的に解決する」とも述べました。

 また世界中に強力な同盟関係を広げ、その「要」であり続けるとし、「アジア、アフリカ、南北アメリカ、中東の民主主義を支援する」と述べました。


解説

格差拡大 国民の目厳しく

 第2期政権の目指す方向を示した21日の就任演説でオバマ米大統領は、「独立宣言」にまで立ち返り、「平等」の実現を強調しました。米国民の間に不平等が広がっている現状をオバマ氏自身が認識していることを如実に物語っています。

 4年前、初のアフリカ系大統領として当選したオバマ氏には、公約であった「チェンジ(変革)」への大きな期待がありました。しかし、ブッシュ前政権から引き継いだアフガニスタン、イラクでの戦争の泥沼化、金融危機に端を発した景気後退の下で、それは頓挫。支持者の間に失望感が広まるなか、2期目を目指す選挙でついに「チェンジ」は鳴りを潜めました。

 それでも米国民はオバマ氏を再度、大統領に選びました。共和党が右寄りの姿勢をとったことに加え、「オキュパイ(占拠)」運動が世に問うた経済的格差の拡大が、国民の目にもはっきりと映ったことも要因の一つです。

 それを受けてオバマ氏は、財政赤字削減をめぐる議会共和党との協議で、富裕層増税の方針を貫きました。就任演説でも米国の繁栄は「中間層にかかっている」と強調。米経済の立て直しの方向として示しています。

 オバマ氏は就任宣誓で、第16代のリンカーン大統領、公民権運動指導者のキング牧師がそれぞれ使った聖書を用いました。米建国の信念である平等の実現に寄与した両氏にあやかりたいとの気持ちがうかがえます。

 “失望”の1期目とは違った4年となるのかどうか、米国民は厳しい目で見ています。

 (ワシントン=山崎伸治)


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