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2013年1月23日(水)

主張

政府日銀「共同声明」

国民の懸念は払拭されない

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 安倍晋三政権と日銀が、これまで「めど」としてきた1%を上回る2%の「物価上昇目標」が達成できるまで金融緩和策を続けるという共同声明を発表しました。政府側の圧力のもと、日銀が金融緩和を約束するという異例の対策です。「これまで以上の金融緩和に効果があるのか」という疑問の声や「物価だけ上がって生活を圧迫するだけではないのか」という国民の懸念は払拭(ふっしょく)されていません。

効果なかった対策さらに

 日銀による異例な金融緩和は、公共事業を拡大する財政政策や大企業にてこ入れする成長政策とともに、安倍政権が“三本の矢”と呼ぶ経済政策です。日銀との合意を安倍首相は「画期的」なものといいましたが、金融緩和はこれまで景気回復効果がなかった対策で、日銀との合意はそれをもっと大掛かりにやろうというものです。

 1990年代以降日銀によって続けられてきた金融緩和が、「デフレ」の克服にも景気回復にもほとんど役に立ってこなかったことは明らかです。現在市中に供給されている通貨の量は国内総生産(GDP)比で26%にのぼり、米国の16%、ユーロ圏の18%と比較しても世界最高水準です。十分すぎるほど資金が供給されても、消費が低迷していて企業の投資先がないため、その多くは金融機関にたまっているだけです。銀行は中小企業には貸し渋りを続けています。ここにメスを入れない限り、いくら金融緩和をしても、実体経済はよくなりません。

 今回の安倍政権と日銀の合意では、物価上昇率の2%が達成されるまで金融緩和を続けることを明記しました。しかし、個人消費の立て直しに不可欠な労働者の賃金や高齢者の年金支給額が2%引き上げられる保証はありません。賃金は1997年をピークに減り続けています。3人に1人が低賃金で不安定な非正規雇用です。それでなくても銀行などにだぶついた資金は投機市場に流れ、石油や穀物の価格高騰を招き、企業や国民の暮らしに打撃を与えてきました。所得が増えないまま物価だけが上がったら、賃金や年金が目減りし、国民の暮らしがますます苦しくなるのは目に見えています。

 安倍首相は記者会見で、これまでの金融、財政などの経済政策を「レジーム・チェンジ」(体制転換)すると発言しました。しかし、日銀に異常な金融緩和を続けさせ、大型公共事業の拡大で必要になる資金を国債増発でまかない、日銀に買い取らせるような事態になればそれこそ深刻な国家破綻が起きます。日銀が大量に発行される国債を買い支えれば、国債の金利が上昇し、国債の利払いのために、国家そのものが破綻する事態も起こしかねません。

国民の所得増やす政策を

 安倍政権の経済対策は、日本経済がなぜ長期にわたって停滞しているのかの処方箋も示さず、“三本の矢”などといって破綻済みの対策を持ち出しているだけです。

 日本経済の停滞は、国民の所得が落ち込み、消費が伸び悩んでいることが最大の原因です。「デフレ」から抜け出すためには個人消費の拡大が不可欠です。消費税の増税をやめ、賃金や雇用を改善して所得を増やし、大企業の無法なリストラをやめさせる対策こそ求められます。そうした政策への転換こそ、政府の責任です。


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