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2013年1月19日(土)

主張

B787

トラブル究明し、大事故防げ

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 日本など各地でトラブルが相次いでいたアメリカ・ボーイング社の新鋭中型機「787」について、アメリカの連邦航空局(FAA)が、原因のひとつと見られるバッテリーの安全が確認できるまで、運航を見合わせるよう航空会社に通知しました。787は日本の全日空や日航をはじめ世界で約50機が就航しています。一度に多くの人員を運べる航空機など大量交通機関はいったん事故を起こせば取り返しのつかない被害をもたらします。運航停止を真剣に受け止め、トラブルの原因を徹底究明し、大事故を防ぐべきです。

34年ぶりの運航停止

 787のトラブルは、燃料漏れや窓ガラスの破損などさまざまありますが、とくにアメリカのボストン空港で起きた駐機中の日航機からの出火と、飛行中に操縦席に煙が立ち込め高松空港に緊急着陸した全日空機の場合は、バッテリーの不具合が原因と見られています。飛行中に出火すれば、最悪の場合火災を起こしたり操縦が不能になったりして墜落する可能性もある、重大なトラブルです。

 FAAによる全面的な運航停止は、1979年に当時アメリカン航空のDC10がエンジンの脱落で墜落していらい34年ぶりのことです。異例の措置が事態の深刻さを浮き彫りにしています。

 787は、アメリカ同時テロの影響などで航空機の需要が落ち込む中で、「ジャンボ」など大型機に代わって注目されるようになった中型機です。機体を軽くし燃料を節約するため、機体に炭素繊維でできた素材を使い、従来のように油圧で主翼などを動かすのではなく電気を動力源にするなど、先端技術を売り物にしていました。

 バッテリーの不具合は、「電気飛行機」ともいわれる、787の心臓部に関わるトラブルです。バッテリーは日本製のリチウムイオン電池ですが、異常な過電圧や過電流によって高温になりやすく、今回のトラブルもバッテリーが高温になり、内部の電解液が沸騰状態になったとみられています。

 問題はトラブルの原因がバッテリー本体にあるのかシステムそのものにあるのかです。リチウム電池自体はパソコンや電気自動車などにも使われていますが、かつては不純物の混入が原因でパソコンから出火する事故もありました。電気を動力源としている787の場合は機内に配線が張り巡らされている状態で、何が過電圧や過電流の原因になったのか、システム全体の究明が不可欠です。

 787のトラブルにはバッテリー以外が原因になったものもあります。それらのトラブルも、電気系統のトラブルと関連があるのか、たまたま偶発的におきたのかなど、徹底究明が求められます。

なにより安全最優先で

 787の運航停止によって、航空機の欠航やキャンセルなど、すでに影響が出だしています。停止が長引けば、航空会社の経営にも打撃になるという指摘もあります。しかし安全は何ものにも代えられません。事故によって失われるかもしれない貴重な人命を考えれば、トラブルを徹底究明し事故を未然に防ぐ重要性は明白です。

 事故の前には「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりすることがある、それを見過ごさないのが大切だというのが常識です。異常を見過ごすことは絶対に許されません。


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