2013年1月17日(木)
「米中一方に偏らない」
南シナ海問題 シンガポールとタイ
【ハノイ=面川誠】シンガポールとタイはそれぞれ14日、南シナ海問題で米国と中国のどちらか一方に偏った態度を取るべきではないとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)が共通の立場を確立した上で、法的拘束力を持つ南シナ海行動規範(COC)を中国と締結すべきだとの立場を強調しました。
シンガポールのシャンムガム外相は国会質疑で、「東南アジアで米中の競争が激しくなっているなかでASEAN内部が分裂している」と質問され、「常に(米中には)いくつかのASEAN加盟国に近づこうという誘惑がある。すべての大国は自国の利益に従って行動すると考えるべきだ」と警戒感を示しました。
外相は、シンガポールは米中両国と友好関係を保ち続けると強調。ASEANの経済規模と成長率の高さを挙げて、「団結、成功、繁栄のASEANはあらゆる国の利益だ。分裂したASEANは誰の利益にもならない」と述べました。
領有権問題の解決は棚上げした上で協力を進めることが平和に寄与するとして、COC締結を促進することが一つの方法だと強調しました。
タイのシハサク外務次官はバンコク・ポスト紙のインタビューで、ASEANが「共通の立場」で南シナ海問題を中国と話し合うために、COC草案を提示しているインドネシアと協力していくと述べました。
タイは2012年7月から15年6月まで、ASEANの「対中国調整国」です。
シハサク氏は「南シナ海が紛争の発生地である限り、(東南アジア)地域の多くの国々は米国を中国に対する対抗力とみなすようになる」と指摘。「中国がこれを理解すれば、ASEANが過度に米国に依存しないよう、今より柔軟な姿勢を取るようになるだろう」と述べました。
一方で米国について、「昨年11月の東アジア首脳会議で南シナ海について以前より(中国に)穏健な態度を取った」と評価。米中の対立に東南アジアを巻き込むべきではないとの立場を示しました。