2013年1月16日(水)
チュニジア「革命」2周年
街頭へ繰り出す市民
民主化・生活改善 決意新た
【カイロ=小泉大介】中東・北アフリカのチュニジアでベンアリ独裁政権が「革命」によって打倒され、同前大統領が亡命してからちょうど2周年となった14日、首都チュニスをはじめ各地で多くの市民が街頭に繰り出し、新たな国づくりに向けた決意を新たにしました。同日には暫定政府と主要労組が生活改善に向けた「社会協定」に調印しました。
現地からの報道によると、「革命」の舞台となった首都中心部のブルギバ通りには、イスラム主義政党アンナハダが主導する暫定政府に批判的な若者や政党メンバーら約1万人が集結。国旗を振りながら「主権は人民にある」「新たな独裁に反対」などと唱和しました。
参加者からは「本来なら自由を勝ち取ったことを喜ぶべき日だが、新たな政治の道筋が見えない。国民は圧力をかけつづけなければならない」などの声が上がりました。
団結すべきだ
マルズーキ暫定大統領は「革命」2周年にあたって行ったテレビ・インタビューで、イスラム主義勢力と世俗派との対立で制憲議会発足から1年以上たったいまも新憲法草案の起草作業が終わっていないことへの危機感を表明。これでは大統領選挙と総選挙の日程も定まらないとし、「すべての政治勢力が自らの責任を自覚し、党略を捨てて団結すべきだ」と訴えました。
現在、国民の不満は政治の混乱に加え、「革命」時よりも悪化している失業率など経済状態にも向けられています。
協議の場設置
世論に押されたジェバリ暫定首相は14日、制憲議会でチュニジア労働総同盟(UGTT)のアッバシ書記長ら労組代表との間で「社会協定」を結びました。そこでは、失業率や労働条件、社会保障の改善、地域の発展などに向け努力するとともに、労組側との協議の場を設置することを約束しました。
チュニジアでは2010年12月17日、中部シディブジドの青年が無許可の露天での商売を理由に警察から暴行され、抗議のための焼身自殺したことをきっかけにベンアリ政権に対する国民の怒りが爆発。連日の大規模デモが1カ月足らずで23年間つづいた同政権を崩壊に追い込み、一連の「アラブの春」の先駆けとなりました。