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2013年1月15日(火)

タイ大幅最賃引き上げ

国民の購買力向上めざす

中小企業に減免も

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 【ハノイ=面川誠】タイで1日から法定最低賃金が全国一律で日額300バーツ(約880円)に引き上げられました。国民の購買力向上で経済を活性化させるのが目的。低賃金の労働集約型産業に依存している現状から、高技術、知識集約型産業の発展を促す狙いもあります。


 地域によってばらつきがあった最低賃金の全国一律化と大幅引き上げは、与党・貢献党が2011年の総選挙で掲げた優先公約。12年4月から首都バンコクと周辺6県で試験的に先行実施されていました。1日からの全国実施で、地域によっては2倍近くの賃上げが実現しました。

悪影響論を否定

 パドゥームチャイ労相は5日、「大幅賃上げは購買力を高めるだけではない。これまで地方住民は、低賃金が理由で都市に出稼ぎに行き家族と離れ離れになってしまったが、今後は家族一緒に暮らせるようになるだろう」と語りました。

 財界や野党・民主党は、急激な賃上げは高インフレや人件費の上昇による企業経営の悪化を招くと非難してきました。これに対して政府・与党は、経済への悪影響はほとんどみられないと反論します。

 商業相の発表によると、2012年の消費者物価上昇率は首都バンコクで3・6%。全国平均の3%をわずかに上回る程度です。企業経営については、昨年の倒産件数が1万6936件で前年比20%増となりましたが、人件費上昇の影響を受けやすい労働集約型産業の倒産件数は100件に満たないとしています。

 ナタウット商業次官は9日、「先行実施した地域で企業の資金流動性に問題は生じていない」と強調しました。

産業構造変える

 最低賃金の全面引き上げにあたって、政府は中小企業に対して売上高に応じた法人所得税の減免措置を取ります。ただ、こうした企業救済措置は当面の措置。長期的には低賃金を温存する産業構造を転換するというのが政府の考えです。

 キティラット副首相兼財務相は、タイ経済が労働集約型産業に依存している限り、貧困層を減らすのが困難な上に、経済発展も壁に突き当たると主張します。

 タイ政府は昨年、外資を対象とした投資奨励対象業種を見直し、法人所得税の減免措置を、労働集約型産業から再生可能エネルギーや医療などの高技術産業に移していくことを決めました。

 キティラット氏は5日のテレビ番組で、「労働集約型の工場は、タイより賃金の安い国に移転するかもしれない。高い賃金の仕事ができるよう、労働者の技能を高める努力が必要だ」と指摘しました。


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