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2013年1月14日(月)

アルゼンチン 国際投機資本と攻防

大統領が「略奪者」と批判

差し押さえの海軍帆船を奪還

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 新自由主義路線と手を切り、自主的な経済発展と国民生活の向上を目指すアルゼンチン政府と、ハゲタカファンドと呼ばれる国際投機資本の対立と攻防が先鋭化しています。フェルナンデス大統領は、投機ファンドが国境を越えて国の主権と尊厳を踏みにじっている状況を「無政府資本主義」と批判し、これとたたかう重要性を強調しています。

 問題の深刻さを浮き彫りにしたのは、アルゼンチン海軍の訓練用帆船リベルタード号が昨年10月初め、西アフリカ・ガーナで司法当局により拘束された事件でした。アルゼンチンの国債を保有するヘッジファンド「NMLキャピタル」が未払いを理由に同船の差し押さえをガーナ側に要請したことを受けての措置でした。

 アルゼンチンは2001年に債務不履行を宣言し、その後の政権は国債を保有する債権者らと、価値を7割削減した新国債との交換を進めてきました。93%の債権者がこの条件を受け入れています。しかし、同意しない債権者の債券を二束三文で買い取ったヘッジファンドらは100%の償還を求め、アルゼンチンの国有資産を差し押さえる動きを活発化させてきました。

 国連国際海洋法裁判所(ITLOS)は昨年12月15日、リベルタード号が「軍用船」であることを根拠に解放すべきとの判決を下し、ガーナ側がこれを受け入れたため、同号は帰国の途に就き、9日にアルゼンチン中部のマルデルプラタ港に帰還を果たしました。

 フェルナンデス大統領は、約20万人が参加した歓迎集会で演説。投機ファンドは「借金漬けや債務不履行になった国々の上を飛び回り、降りてきて10%(の価値)で債券を買い、後にそれを100%(の価値)で回収しようとする」ハゲタカファンドだと批判。彼らへの支払いを改めて拒否するとともに、このたたかいの末に実現したリベルタード号の帰還は「アルゼンチンの主権と民族的尊厳の尊重を守る立場を象徴するものだ」と称賛しました。ロイター通信は、「『無政府資本主義』にたいする主権の勝利」と述べたと報じました。

 大統領は、2003年以降の政権が、債務再編で合意した債権者に対して誠実に支払いを行いながら、投機資本の横暴や新自由主義政策で破壊された国内産業を立て直し、約550万の雇用を生み出す成果を収めてきたと報告しました。

 投機資本側は、アルゼンチンの政府専用機の差し押さえも狙っています。このため、大統領は1月中旬のアジア各国歴訪に際して同機の使用を控えると発表しています。

 大統領は、厳しい攻防がこれからも続くとの見通しを明らかにしつつ、投機資本とのたたかいが「他国でも繰り返されうる」ものだと指摘。諸国民の幸福を擁護するためには、投機資本という「世界的な社会の略奪者たちに対して、堅固で真剣な立場をとることが必要になっている」と力説。このたたかいでの各国の共同を呼び掛けました。

 (菅原啓)


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