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2013年1月12日(土)

日銀が勝手にお札を刷る?

経済情勢にあわせ量を調節する役割

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 安倍晋三首相は昨年の総選挙前、「大胆な金融緩和」のため「輪転機をぐるぐる回して日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう」と発言しました。しかし、実際には日本銀行が勝手にお札を増刷するわけではありません。(山田俊英)


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(写真)東京都中央区の日銀本店

 日銀の役割は、中央銀行としてお札を発行し、物価を安定させるためにその量を調節することです。日銀は経済情勢を見ながら、発行するお札の量を調節します。

 現在は物価が下落し続ける「デフレ」です。「物の値段が下がるときには、世の中に出回っているお金も減っています。だから、日銀では、世の中に出回るお金が増えるよう、銀行の持っているお金をコントロールしていきます。デフレのときは、銀行が持っているお金を増やして金利を下げるような金融政策を行います」(「日本銀行と私たちのくらし」)と日銀は説明します。

 市中に供給されるお金が増えれば金利が下がります。金利が下がるとお金を銀行から借りやすくなるので、新しい事業のためにお金を借りる企業が増える効果が期待でき、住宅ローンも組みやすくなります。日銀は金利を下げて、物の売り買いやお金の動きを活発にすることで、物の値段が下がりにくくなる効果を狙います。これが金融緩和政策です。

国債買い取り

 市中に供給するお金の量を調整する主な手段が「公開市場操作」(オペレーション)です。オペレーションとは、市場で短期国債などを売買してお金を供給したり、吸収したりして金利水準を調節することです。

 金融機関が保有している国債や手形を日銀が買えば、代金をその金融機関に払うので、日銀からお金を供給することになります。逆に日銀が保有している国債を金融機関に売れば、お金を吸収することになります。

 「デフレ」対策として日銀がどの程度のお札を刷るかは日銀が市場からどの程度の国債などを買い取るかに左右されます。

生産に流れず

 リーマン・ショック以降の金融緩和で日銀が市中に供給しているお金の総額を示すマネタリーベースは08年9月の88兆円から12年11月には124兆円に増加しました。しかし、その多くは、民間銀行が日銀に保有している日銀当座預金口座にたまっているだけで、生産や商売など実体経済の活動に流れて行きません。

 内需が冷え込んでいるため、銀行からお金を借りて新たな事業を起こそうという企業が少ないためです。銀行は積極的に企業にお金を貸そうとしません。内需を喚起しないと日銀がいくらお金を供給しても、景気をよくする効果はありません。賃金を上げ、雇用を増やして国民の懐を温める政策が必要です。


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