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2013年1月10日(木)

きょうの潮流

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 「名には久しく聞いていたが、この吾妻(あがつま)の渓谷をこれほど好ましい渓(たに)とは想像しなかった。五町、十五町と見てゆく間に私は殆(ほとん)ど酔った者の様になってしまった」▼歌人の若山牧水は1918年11月、群馬の吾妻渓谷を訪れ、深い感動を覚えます。景色のよさに驚いただけではありません。来るべき場所へ来たという「安心と感謝」の念があふれ出ました▼先の大戦後、国は、渓谷に八ツ場(やんば)ダムをつくろうとします。当初は、国自身が「名勝」と定める区域のほぼ半分を水没させる案でした。のちに、4分の3の区域を残す計画に変え、名勝を守るかのように説明しています▼しかし、想像してみればいい。牧水の気分で渓谷を見ながら上流へ。やがて巨大なダムサイトが現れ、自然の造形が断ち切られてしまう…。もはや、牧水が安らぎ感謝をささげた景色からは、ほど遠い▼昨年暮れ、新しく任についたばかりの太田国土交通相が、八ツ場ダム建設を推し進める考えを明かしました。民主党政権が「建設中止」の公約を破り、事業を再開していた八ツ場ダム。4600億円もかけて無用の長物をつくる大型事業です▼太田氏は、公明党の人です。公明党は、憲法を改め「環境権」を盛り込むよう唱えています。「かつての人間中心主義ではない自然との共生も含んだエコロジカルな視点に立った環境権を定めるべきである」と。いったい本気で「自然」「環境」を大事に思い、憲法について語っているのか。そう怪しまれても、仕方ないでしょう。


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