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2013年1月9日(水)

がん治療中のベネズエラ・チャベス大統領

就任時期で憲法論争

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 南米ベネズエラでは、昨年10月の選挙で4選を決めたチャベス大統領ががん治療のため通常1月10日に行われる国会での就任式に出席できないことが確実となりました。野党勢力は、任務遂行が不可能になった状態であるとして、再選挙の実施を要求。与党側は「突発的な事態」発生の場合は、就任宣誓を延期できると反論し、両者の論争は激しさを増しています。

 チャベス大統領は骨盤部のがんが再発し、昨年12月11日、キューバで4回目となる手術を受けました。がんの切除には成功したものの、その後肺疾患を発症。ビジェガス通信情報相は7日、容体は「安定している」が「恒常的で厳密な治療が施されている」と発表しました。

 ベネズエラの憲法は、「選出された候補者は、その任期の初年の1月10日に国会で宣誓し、共和国大統領の職に就任する」(第231条)と定めています。また、大統領が就任前に死亡、辞任などで任務が遂行できない「絶対的不在」となった場合は、その日から「30日以内に」新たな選挙の手続きが取られると述べています。

 野党連合、民主統一会議(MUD)のアベレド議長はこの間、チャベス大統領の状態は「絶対的不在」にあたることを国会議長が認定すべきだと主張。この見解を説明した文書を各国大使館に送付したとされています。

 しかし、憲法第231条は前出の箇所に続いて「何らかの突発的な要因により共和国大統領が国会で就任できない場合には、その就任は、最高裁判所でこれを行う」とも述べています。

 マドゥロ副大統領は4日、この規定を援用して「大統領は1月10日の就任式に出席できなくても、その後適切な時期に最高裁で宣誓を行うことができる」との立場を明らかにしました。

 与党幹部でもあるフロレス検事総長も6日、南米共同テレビ網テレスルとの会見で、大統領は「手術を受け、その後の過程で回復しつつある」として、この状況が憲法231条で定める「突発的な要因」にあたると説明しました。

 野党側は、この論点には反論不能となっていますが、マドゥロ副大統領が1月10日の就任式という憲法規定について「形式主義」と語ったことに批判を集中。野党系有力紙ウニベルサル6日付は、「憲法には不要な形式主義とされる規定は一つもない」「(マドゥロ発言は)憲法を公然とねじ曲げるもの」(憲法学者のホセ・アロ氏)など専門家の談話を掲載、政府批判のキャンペーンを強めています。 (菅原啓)


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