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2013年1月6日(日)

きょうの潮流

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 真っ暗な部屋に入ると、いきなり響いてくるドラムのような音。強くなり、弱くなり。間があいたり小刻みだったり▼天井からつるした明かりが一つ、音に合わせ明滅します。小豆島のお隣、瀬戸内海の豊島(てしま)の海辺に立つ小さな美術館「心臓音のアーカイブ」です。すでに世界各国3万人以上の心臓音を記録し、大音量で再生しています▼別の部屋では、パソコンで検索してお目当ての人の心臓音も聞けます。もし故人が音を登録していれば、家族や友だちは、島にきて彼・彼女の生きた証しを確かめられます▼作者は、現代美術家のクリスチャン・ボルタンスキーです。彼は、一人ひとりの人間のかけがえのなさを、生きた証しの復元や記録で表してきました。人の忘れっぽさに逆らうように。1944年フランス生まれのユダヤ人。ナチス・ドイツに虐殺された人々の記憶を写真などでよみがえらせる作品も名高い▼彼は、あらまし次のようにいいます。ナチスは、人を物体としてあつかった。たとえば、「きょう収容所に1000人来た」ではなく「○トン着いた」。しかし、かりに1000人でもただ1000人ではない。スパゲティ好き。サッカー好き。つねに、1人+1人+1人なのだ…▼のどかな瀬戸内で、ボルタンスキーの仕事に敬意を表しました。人が忘れっぽいだけでなく、権力者は人々の記憶から現に生きている人の姿さえ消そうとします。日本軍「慰安婦」への屈辱の強制がなかったかのように語る政治家さえいるのですから。


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