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2013年1月3日(木)

主張

北東アジアの平和

対話の知恵こそ時代の要請だ

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 北東アジアの中国、日本、韓国で相次いで政権が交代し、新政権の対外政策を世界が注目しています。同時に、北東アジアの「緊張」が世界的に懸念され、軍事的衝突を予測する声も出ています。政権交代を新たな対外関係への契機とし、各国が平和の確保に向けた取り組みを進めるべきときです。

軍事的手段で解決しない

 東アジアは世界の貿易や投資の半分以上を占め、世界の経済発展の原動力となっています。なかでも北東アジアは、世界で第2、第3の経済大国の中国、日本と、急速に発展する韓国が経済的結びつきを強め、世界経済に大きな影響力をもっています。

 一方、この地域では海底資源をめぐる経済権益も背景に、南シナ海、東シナ海などの島の領有権をめぐる対立が強まっています。領土問題をきっかけとする偏狭なナショナリズムの台頭に世界の懸念が寄せられています。尖閣諸島では中国政府機が領空侵犯し、日本の自衛隊機が緊急発進する事態も発生しています。いまのまま事態を放置すれば、局所的な軍事衝突の可能性も否定できません。

 それはエスカレートの危険をはらみ、各国民の安全にとっても、緊密化した経済関係にとっても計り知れない打撃と損失をもたらし、問題解決の道をますます閉ざすものとなります。軍事的手段で問題が解決しないことは、誰の目にも明らかです。どのようにして対話を開始し、解決への道を見いだすか、いま求められているのはその構想です。

 日本共産党が昨年発表した「外交ビジョン」は、「“軍事依存の安全保障”から脱却する」「異なる体制、発展段階、文明を相互に尊重する対話と信頼醸成の協力をはかる」ことを中心とした「平和的安全保障」の基本を提案しています。

 東南アジアには実例があります。武力行使の放棄と紛争の平和解決を規範として定め、平和と安全保障のための重層的な対話と紛争防止の重層的な仕組みをもつ東南アジア諸国連合(ASEAN)の経験です。北東アジアでもこの取り組みを、相互不信の克服と信頼醸成の過程と位置づけて進めることが求められます。

 いま北東アジアには、ASEANと日本、中国、韓国との集団的協議の仕組み「ASEAN+3」の発展のなかで発足した「日中韓首脳会議」があり、3カ国間の相互信頼の醸成、協力事務局の設立、安全保障分野における対話の強化などが検討されています。また、さまざまな困難で中断してはいるものの、北朝鮮の核問題解決のための6カ国協議の枠組みも存在しています。この協議は、より全般的な多国間安全保障の枠組みに発展する可能性ももっています。

“不信”取り除くために

 北東アジアで対話の網を築くには、互いの“不信”を取り除くことが必要です。日本は過去に行った侵略戦争と植民地支配を反省することが不可欠です。「戦後レジームからの脱却」を叫ぶ安倍晋三政権の再登場に、各国が懸念を抱くのは当然です。政府がこれまで表明した反省をないがしろにするような言動は固く慎むべきです。

 軍事でなく外交による問題解決こそ広範な国民の願いです。軍事衝突を起こさず、対話と信頼醸成で紛争の平和的解決をはかる平和の安全保障を追求すべきです。


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