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2012年12月25日(火)

主張

イスラエルの入植拡大

国際社会は無法抑える努力を

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 イスラエルのネタニヤフ政権が占領地への入植の大規模な拡大に乗り出しています。入植活動はこれまでもたびたび問題になってきました。しかし、今回は国際社会が広く認めた中東和平の展望を破壊しかねない重大な事態となっています。イスラエルは入植活動をただちに中止し、パレスチナとの和平を真剣に追求すべきです。

中東和平の展望を破壊

 イスラエルはヨルダン川西岸と東エルサレムへのユダヤ人の入植拡大を、立て続けに打ち出しています。最近も17日に東エルサレムで住宅1500戸、19日にも東エルサレムに2600戸の住宅建設を発表しました。将来のパレスチナ国家の首都とされアラブ系住民の多い東エルサレムを、大規模に侵食するものです。

 とりわけ、E1と呼ばれる地区への入植は東エルサレムと西岸とを分断し、パレスチナの領土的一体性を破壊するものとなります。イスラエルは長年同地区への入植を企てながら、その重大性から国際社会から「越えてはならない一線」とみなされ、ブッシュ前米政権も反対したほどでした。

 それ自体が国際法に反する入植地の拡大は、パレスチナとの和平交渉の最大の障害となってきました。しかし、今回のイスラエルの動きはイスラエルとパレスチナの「2国家共存」という中東和平の道筋そのものを破壊しかねない、きわめて悪質なものです。

 国連総会は11月末、パレスチナを「国家」として認める決議を圧倒的多数の賛成で採択しました。イスラエルはこれをパレスチナの「一方的」な動きとして非難し、“報復”として入植拡大を打ち出しています。こんなでたらめは通用しません。国連総会決議は安保理決議が示した中東和平の道筋の実現に向けた一歩であって、これへの非難はパレスチナ国家の樹立を認めず、中東和平に背を向けるものとなり、国際社会へのあからさまな挑戦です。

 実際、イスラエルのネタニヤフ首相はエルサレムを「ユダヤ人にとっての永遠の首都」だとし、「自らの首都で住宅建設を制限することは理解できない」と述べています。エルサレム全域がイスラエルの領土だと主張するもので、和平を拒否したものと批判されても仕方ありません。

 総選挙を来月に控えたイスラエルでは、ネタニヤフ首相の主張は保守層にさらに支持を広げようとするものです。極右勢力からは、タカ派の同首相でさえ国際世論に「弱腰」だとの非難があります。

 しかし、国民の多くは、和平を実現するため入植地の放棄に前向きだとの指摘もあります。

国際社会に強まる批判

 イスラエルの主張を国際社会は認めていません。国連の潘基文(パンギムン)事務総長や米国など安保理の理事国も入植活動への批判を強めています。非常任理事国であるドイツのメルケル首相もネタニヤフ首相との会談で、ドイツの指導者としては「異例」とされるほど厳しい姿勢をみせました。

 入植活動をこれ以上続けることは、イスラエルにとってもさらなる国際的孤立を招き、自国の安全を損なうことが明らかです。国際社会はイスラエルの無法な行動を抑え、中東和平の展望を鮮明にし、その実現に向けていっそう協力を強める必要があります。


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