2012年12月24日(月)
米「財政の崖」協議難航
富裕層増税で対立
期日目前 国民生活に直結
米国で1月1日に減税措置の終了と歳出の自動削減が発動する「財政の崖」をめぐり、ホワイトハウスと議会との協議が行き詰まっています。オバマ大統領は21日の記者会見で「崖」の回避は「達成可能な目標だし、10日間でできる」と表明したものの結論は出ないまま。オバマ氏も議会もクリスマス休暇に入り、決着は議会が再開される27日以降に持ち越されました。
27日議会再開
「財政の崖」をめぐる最大の焦点は、ブッシュ前政権が導入した富裕層減税を継続するかどうか。オバマ氏は継続に一貫して反対してきました。
共和党は当初、一切の増税措置に反対していましたが、ベイナー下院議長が14日、それを転換し、年収100万ドル(約8400万円)以上の富裕層への増税を提案。それに対しオバマ氏も、年収25万ドル(約2100万円)以上としてきた増税対象を40万ドル(約3400万円)以上に引き上げる“譲歩”を共和党側に示しました。
しかし両者の隔たりはそれ以上狭まらず、オバマ氏は19日の会見でベイナー氏の提案を拒否すると表明。ベイナー氏も同日、提案に沿った法案を20日に下院で採決すると述べ、対決姿勢を強めました。
ところが法案の採決は、可決の見通しがつかないとして直前で取りやめ。富裕層増税に断固として反対する共和党保守派をベイナー氏が説得しきれなかったもようです。
歳出が自動削減されると、失業者への臨時救済措置は廃止され、高齢者向け公的医療保険(メディケア)による病院への支払いなども削減されます。
共和党は富裕層増税と引き換えにいっそうの社会保障費削減を求めています。ホワイトハウスと議会との協議の行方は国民生活にも直結する問題となっています。
(山崎伸治)