2012年12月19日(水)
韓国大統領選きょう投開票
朴・文両氏接戦のまま
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【ソウル=面川誠】韓国大統領選挙が19日、投開票されます。与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補は「国民生活を気遣う初の女性大統領の時代を切り開く」と訴え。野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補は「市民の政府をつくり政治・経済の民主化、南北和解と協力を進める」と強調しています。
朴氏は18日の記者会見で、「いま世界的な経済危機が迫っている。各国と対等な外交を展開して経済危機を克服できる大統領が必要だ」と主張。落選した場合は政界から引退すると言明しました。
文氏は同日の記者会見で、セヌリ党政権の5年間で韓国経済がいっそう悪化したと批判。「庶民の苦痛を取り除き、財閥と特権層のための経済を正す」と訴えました。
名門私立の一つ延世大学近くの喫茶店で働く林志瑛(イム・ジヨン)さん(34)は、「学生が年々、活気を失っている。安定した職場の公務員や有名企業への就職競争に疲れているのだと思う。学生には『社会に不満があるなら絶対に棄権だけはするな』と言い聞かせている」と語ります。
両候補とも国民生活に配慮した「経済民主化」を掲げ、非正規職の正規職転換、無料保育、年金引き上げなど、共通する公約が目立ちます。ただし、財源確保については朴氏が歳出調整を重視。文氏は高所得者の減税廃止や大企業による青年雇用の義務付けを主張しています。
セヌリ党陣営は「文氏の公約は“ばらまき”政策」と批判。民主統合党側は「朴氏は財閥依存の古い体質」と指摘しています。
大手日刊紙の編集幹部は、「支持率はほとんど互角。文氏への支持が多い若年層の投票率が勝敗を分けるだろう」と言います。
この幹部は「李明博(イ・ミョンバク)現政権は国民の不満に耳を傾けようとしなかった。どちらの候補が国民の生活や悩みを理解できる人物なのか。それを基準に若い有権者が判断を下すのではないか」とみています。