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2012年12月17日(月)

ゆうPRESS

学びたい、でも…

全学連「黒書」・全院協調査

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 「お金の心配なく勉強したい」「就活が忙しくて授業に出られない」―。いま、安心して学びたいという学生たちの普通の要求が、ふみにじられています。就職内定率もいぜん低水準が続くなか、全日本学生自治会総連合(全学連)と、全国大学院生協議会(全院協)がおこなったアンケートからは、大学生活や将来への不安を抱く、学ぶ学生の姿が浮き彫りになりました。


 全学連がまとめた「学費・雇用黒書2012年版」では、3882人が回答を寄せました。「学費を負担に感じる」とした学生は70%に上り、「家族に負担をかけることがつらい」(1848人)、学費が「家計を圧迫している」(743人)、「親が仕事を増やした」(242人)としています。(グラフ1)

 奨学金を受けている学生は44%で、学費(768人)や生活費(487人)のたしにすると回答。一方、借りなかった理由は「返済への不安」(464人)が断トツでした。

 全院協は7月から9月にかけて、「大学院生の経済実態に関するアンケート調査」をおこないました。38大学から755枚の調査票を得ました。

 回答者の7割以上がアルバイトに従事。その目的として約93%が生活費あるいは学費(研究費)をまかなうためと答えています。

 こうした状況が「研究に影響している」と回答した人は約60%。具体的な影響として「研究資料・書籍を購入できない」が7割を超えています。(グラフ2)

グラフ

大学生「黒書」から

交通費が負担に

 ■関西地方の大学4年生

 3年生の1月から本格的に就職活動を始めました。地元静岡での就職も視野に入れているため、春休み期間中は大阪でおこなわれる説明会を受けたあと、その足で静岡に帰って就活をすることもありました。交通費は多いときで月10万円に達しました。コンビニの夜勤アルバイトをしながらの就活です。交通費が大きな負担となっているので、政府や企業の支援がほしい。

食費削るしか…

 ■京都市内の大学で学ぶ3年生

 私立高校を卒業までに借りた奨学金がすでに300万円。「これ以上、借金を作った状態で社会に出るのは大変」と親に言われ、いまは借りていません。現在は一人暮らし。1冊何千円もする書籍を買わなければいけないときや、大きな出費があると「食費を削るしかない」とそのたびに落ち込んでいます。大学院への進学を希望していますが、学費がかかるので悩んでいます。とにかく時間にもお金にも余裕がなくてしんどい。もっと余裕がほしい。

大学院生「報告書」から

将来への不安感

 ■国立大学博士課程2年

 何よりも将来への不安感。少しでも多く貯金しておきたいのが本音。だから奨学金の返済や授業料のことを考えると不安で仕方がない。変なあせりもあり、おちついて研究できない。

窮乏の悪循環に

 ■私立大学修士課程2年

 経済的負担やそこからくる研究への悪影響があまりにも多い。経済的窮乏→アルバイトで工面→研究時間の不足→業績の不振→経済的窮乏という悪循環に陥っている。貧乏人は研究も満足にさせてもらえないのか。奨学金制度も貧困な院生の実態をまったく反映しておらず、何のための制度なのかわからない。不公平さを感じ、正直失望するしかない状況である。

死んだ方が…と

 ■私立大学博士課程3年

 借金が多く、経済的にも困難なのに、今後どのように奨学金の返済をしていけばいいのか、また就職のことも考えると死にたくなります。死んだほうが奨学金の返済も可能なのかもしれないと考えます。


学費負担軽減保障して

写真

全日本学生自治会総連合 藤浦修司委員長

 今回の調査では、高学費が学生に重くのしかかっている現実が改めてあきらかになりました。学費が払えずに中退した知人がいると答えた人もいます。そして、学費や生活費を稼ぐために、学生が寸暇を惜しんでアルバイトをしています。日本ではそれが当たり前になっていますが、本当におかしなことだと思うのです。

 奨学金も卒業と同時に多額の借金となり、就職難のなか、返済が心配で困っている人ほど借りにくいものになってしまっています。

 政府には学費の値下げや、返済不要の奨学金の創設などによる抜本的な学費負担軽減、その保障となる大学予算の増額を求めたい。

 自分の家の家計が苦しいからしょうがないと思っている青年もいます。あきらめず一緒に声をあげていきたいです。


安心して研究できる環境を

全国大学院生協議会 佐藤郁子さん(仮名)

 大学院生の収入が不足し、研究時間をしっかりと確保できないというのは重大な問題だと思います。

 国の政策によって大学院生の数が増やされましたが、大学などの研究機関において常勤の教員や研究者が削減され、非常勤講師など非正規で働く研究者が増えています。大学院で研究を頑張っても就職に希望がもてない。これは極めて問題であると感じています。

 こうした現実から優秀な学生が大学院に進学しない状況があります。これは社会にとっても大きな損失ではないでしょうか。

 9月に国際人権規約の無償化条項の留保撤回がされました。政府には、それに基づき高等教育の無償化を実現してほしい。そして、大学院生が安心して研究できるよう、給付制奨学金の創設、大学の若手教員の増員、高等教育予算の拡充などを求めます。


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