2012年12月16日(日)
2012韓国大統領選
「抑止」か「協力」か
対北朝鮮政策で非難合戦
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【ソウル=面川誠】北朝鮮のロケット発射を機に、韓国大統領選(19日投開票)の与野党候補が連日、相手の対北朝鮮政策を激しく非難しています。与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補は“抑止”を、野党第1党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補は“協力”を重視する姿勢を強調します。
両候補とも「前提条件なしの対話再開」を目指す点では同じです。ただ、朴氏は北朝鮮による延坪島砲撃(2010年11月)のような挑発行為の再発防止の確約などの「信頼措置」の先行を強調。一方の文氏は、「朝鮮半島の非核化、南北間の平和体制、米朝対話の同時並行推進」を主張し、「米韓協調、南北協力」を掲げます。
両陣営は15日、それぞれ首都ソウルで大規模集会を開催。
朴氏陣営は「(いまの野党が政権にあった)金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)時代の北朝鮮支援がロケット、核開発を野放しにした」と非難し、「米韓同盟による抑止」の必要性を訴えました。
文氏陣営は「李明博(イ・ミョンバク)政権の対話断絶が北朝鮮の強硬化と挑発を助長した」と主張。「現政権の安保無能」を攻撃しました。
文氏の集会に参加した会社員の鄭相録(チョン・サンノク)氏は「北朝鮮がロケットを発射した日も株価は上がった。国民が動揺しないのは良いが、危険と隣り合わせの現実に慣れすぎているのも問題だと思う。これは本当の平和ではない」と語ります。
大学生の李玩宰(イ・ウォンジェ)さんは「徴兵制は男子学生にとって大きな負担になっている。(兵役期間中)常に戦争を考える生活を強いられたのは、本当に苦痛だった」と振り返りました。
政治評論家の黄泰順氏は、北朝鮮の核兵器開発と弾道ミサイル技術開発は「朝鮮半島の命運を左右しかねない問題」だと指摘。「両候補とも長期的視野に立った政策を有権者に語り掛けてほしい」と言います。